電動キックボード 道交法改正で普及見込み 西伊豆のレンタルサービス、記者が実走体験

 次世代モビリティー(移動手段)として注目される電動キックボード。2年以内に施行予定の改正道交法により、時速20キロ以下の場合、16歳以上なら免許がなくても運転が可能となり、ヘルメット着用も任意となる。今秋に沼津市内で貸し出しの社会実験が予定されるなど静岡県内でも普及の動きがあるが、安全面への不安も根強い。昨年から観光用にレンタルサービスを展開している西伊豆町観光協会を記者が訪れ、実走を体験した。

電動キックボードの乗り方を教わる記者(左)と職員の鷹野純也さん=西伊豆町観光協会(松崎支局・土屋祐人)
電動キックボードの乗り方を教わる記者(左)と職員の鷹野純也さん=西伊豆町観光協会(松崎支局・土屋祐人)
電動キックボードのルール
電動キックボードのルール
電動キックボードの乗り方を教わる記者(左)と職員の鷹野純也さん=西伊豆町観光協会(松崎支局・土屋祐人)
電動キックボードのルール

 観光協会で対応してくれたのは職員の鷹野純也さん(41)。申し込むと、まずヘルメット着用義務や歩道走行の禁止などのルールを説明してくれた。「(現行法では)ヘルメットの着用が義務だと知らない人が多い」と鷹野さん。さらに動画で安全な乗り方を確認した。「人の目が無いとルールを読んでくれない。対人で指導することが大事」なのだという。
 公道走行前に鷹野さんからアドバイスを受けながら練習した。アクセルを押すと思った以上に勢いよく進みバランスを崩してしまった。スピードの調整も難しい。10分ほど練習すると感覚がつかめてきた。すぐに乗りこなす人もいれば、慣れるのに30分ほどかかる人もいるという。鷹野さんは「気が済むまで練習してもらう。本当に苦手な人には貸し出しを断ることもある」と話す。
 いよいよ公道の走行。観光協会が推奨する、交通量が少ないコースを走ることにした。練習で基本的な操作を覚えたとはいえ、段差や急カーブでは転びそうになる場面もあった。自在に乗りこなすには数時間の貸し出しでは足りない印象だ。
 体験を通し観光協会の安全対策の徹底ぶりと、その重要性を実感した。鷹野さんは「ルールが緩和されても講習は簡略化しない」と語る。電動キックボードはさらなる普及が見込まれる。人々の安全意識向上へ貸し出しを行う事業者が先導役になる必要を痛感した。

 ■ヘルメット着用 現行では義務 「特例」との混同に注意
 現行では定格出力0.6キロワット以下のモーターで走る電動キックボードは道交法上の原動機付き自転車(原付)に該当し、ヘルメットの着用が義務づけられている。一方、沼津市で行われる社会実験のように国の特例措置を受けたサービスの場合は「小型特殊自動車」の扱いとなり、ヘルメットは任意。自転車専用通行帯の走行も可能になる。
 静岡県警交通企画課の坪内大輔管理官(48)は「現行、特例、改正法施行後で異なる複雑なルールを販売店や個人に対して周知していきたい」と話す。

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