ヤマハ発「ハルモ」 国内外で活用模索 マリン電動化市場開拓

 ヤマハ発動機は、マリン製品の電動化市場開拓に本腰を入れている。今春、電動船外機と操船制御技術を組み合わせた電動推進システム「HARMO(ハルモ)」を欧州市場に投入。国内でも搭載艇の実証運航を進めている。環境意識の高まりに伴う需要拡大を見据え、まずは電動の特性を生かした低速運航での活用を模索する。

電動船外機と操船制御技術を組み合わせた「HARMO(ハルモ)」=12日、湖西市のヤマハマリーナ浜名湖
電動船外機と操船制御技術を組み合わせた「HARMO(ハルモ)」=12日、湖西市のヤマハマリーナ浜名湖
ハルモを活用したクルーズの実証運航=7月、北海道小樽市(ヤマハ発動機提供)
ハルモを活用したクルーズの実証運航=7月、北海道小樽市(ヤマハ発動機提供)
電動船外機と操船制御技術を組み合わせた「HARMO(ハルモ)」=12日、湖西市のヤマハマリーナ浜名湖
ハルモを活用したクルーズの実証運航=7月、北海道小樽市(ヤマハ発動機提供)

 2024年までの中期経営計画に掲げたマリン版CASE戦略の一環。ハルモは、発進時から強い推進力を出せるリムドライブ方式のモーターと、小回りが利く電動ステアリング、ジョイスティックで感覚的な操船ができる制御システムを統合した。
 マリンレジャーが活発な欧州では既に、一部で船外機の電動化を義務付ける環境規制強化の動きがあり、個人の需要も見込めると判断して、今春の販売開始に踏み切った。主力の北米市場への投入も視野に入れる。
 国内では、電動ならではの静粛性が快適な遊覧やクルーズなどにつながるとみて、事業者にアプローチする。現在、北海道の小樽運河や横浜市のマリーナなどでハルモ搭載艇の実証、テスト運航が展開中。徳島市でも遊覧用に実証運航が検討されているという。開発担当者は「ハルモの認知度を上げ、国内市場導入の準備を進める」と説明する。
 一方で、本格的な市場への浸透には、バッテリーなどコスト低減の課題が残る。飯田勝哉マリン事業本部マーケティング統括部長は「コストを下げるには量産化が必要。幅広く活用してもらう活動を展開し、将来的には量産できる規模まで市場を開拓していく」と意欲を示している。

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