静岡空港周辺にヘリ事業 鈴与グループ、訓練学校など集積

 新型コロナウイルス感染拡大で静岡空港発着の空の便の利用者が低迷する中、鈴与グループは同空港周辺で、ヘリコプターの訓練施設を開所するなどヘリ関連事業の集積を進めている。国内で最高性能というヘリ専用フルフライトシミュレーター(FFS)もお目見え。実機を使った整備作業訓練装置や航空資料館での児童の社会科見学受け入れも想定する。

高度なヘリコプター飛行訓練ができるフルフライトシミュレーター=9月中旬、牧之原市坂口
高度なヘリコプター飛行訓練ができるフルフライトシミュレーター=9月中旬、牧之原市坂口
目の前の画面いっぱいに広がる清水港周辺のシミュレーション画像=牧之原市坂口
目の前の画面いっぱいに広がる清水港周辺のシミュレーション画像=牧之原市坂口
ヘリコプターの整備工場内を案内する関係者=6月、牧之原市坂口
ヘリコプターの整備工場内を案内する関係者=6月、牧之原市坂口
高度なヘリコプター飛行訓練ができるフルフライトシミュレーター=9月中旬、牧之原市坂口
目の前の画面いっぱいに広がる清水港周辺のシミュレーション画像=牧之原市坂口
ヘリコプターの整備工場内を案内する関係者=6月、牧之原市坂口

 高さ約8メートル、幅6メートル。真っ白い巨大な球体を6本の支柱が支えるFFSは見る者を圧倒する一方、どこかしらかわいげもある。「愛着を込めて『タコ』と呼んでいる」。フジアビエーションシステムズの林隆司常務は、いとおしそうにFFSを見上げた。
 静岡空港発着便を持つ航空会社フジドリームエアラインズ(FDA)を運営する鈴与グループは、ヘリ関連事業の投資も加速している。4月には牧之原市坂口の空港周辺に、FFSを擁する「フジトレーニングアカデミー」を開校。静岡エアコミュータも世界最高水準のヘリ専用の整備・修理事業を2019年から展開し始めている。
 林常務は「機体の整備の間に、実機では体験しにくい緊急非常操作をFFSで体験してもらえる」とシナジー(相乗効果)を説明する。主な対象機種はいずれも伊レオナルド社製のヘリ「AW139」。国内に約70機ある同型機のうち、9割が公共目的で利用されているという。
 アカデミーには4月の開校以来、海上保安庁や消防など全国から150人前後が入校し、実際のヘリの動きや振動を忠実に再現できるFFSで夜間や荒天時などの操縦シミュレーションをこなした。
 1機10億円以上のFFS。室内気温22度、湿度60%に保つなど管理コストはかかるが、訓練代は実機に比べれば数分の1。これまではFFSの訓練は海外で行う必要があったという。鈴与グループ関係者は「航空事業を広く手掛ける企業として空の安全に一役買いたい」と話す。

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