ナブテスコ浜松工場着工 生産自動化9割目指す

 ナブテスコ(本社・東京)は26日までに、需要が拡大する精密減速機の生産拠点となる浜松工場(浜松市北区都田町)の建設に着手した。2023年10月稼働予定。国内外3カ所目の生産拠点で、最大規模。30年までに拡張して年産120万台とする計画実現に向け、自動化率90%のスマート生産工場化を図る。ニーズの高い機種に絞って大量生産を進め、製造効率を高める。

ナブテスコ浜松工場の完成イメージ
ナブテスコ浜松工場の完成イメージ

 浜松工場では材料受け入れから加工、組み立て、出荷までを一貫して行う。生産状況の見える化やデータ解析を蓄積し、予測に基づいて生産することで需要の変動に柔軟な対応が可能になるという。
 高い剛性や耐久性を強みとする自社製品技術を工場内や建設時にも活用する。精密減速機を足回りに取り入れたAGV(無人搬送車)を工場内で走らせるほか、重量がある外装部材取り付けを担う建機にも組み込む。
 事業の使用電力を100%再生エネで賄うことを目指す「RE100」達成へ、人工知能(AI)による最適な空調制御や太陽パネルによる発電も効果的に利用する。
 同社は、中大型産業用ロボットの関節向け精密減速機市場で世界シェア6割のトップメーカー。21年12月期の精密減速機の売上高は775億円で、22年12月期は920億円まで伸長する見通し。自動車のEVシフト化に伴う投資需要も背景の一つで、産業ロボットの増加に加え、リチウムイオンバッテリーの製造用途でも活用される動きがある。

 ■世界のニーズに対応 木村社長
​ 木村和正ナブテスコ社長はこのほど、浜松市北区都田町の建設予定地で行われた起工式で、同社の精密減速機事業を「成長ドライバー」と強調し、「浜松から世界の自動化ニーズに対応していきたい」と述べた。事業は中長期的に年平均で10%程度成長するとの見通しも示した。
 国内数十カ所の候補地から選定したという浜松への進出理由について、高速道路に近い交通アクセス、精密減速機のマザー工場と位置付ける津工場(三重)との距離、技術力のある中小製造業の存在などを挙げた。地元を中心に新たにサプライチェーンを築く方針で、浜松商工会議所と連携して機械加工など事業者の開拓を進めているという。

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