焼津の魚に魅せられ、広島から移住 人気シェフが開業「馳走 西健一」 こだわりの8席、予約数カ月待ち

 広島市で人気フレンチレストランのオーナーシェフとして活躍した西健一さん(42)が焼津市に移住し、新店舗を開業した。焼津市の老舗魚卸小売店から仕入れた鮮魚に触れ、食材が持つ魅力にひかれたことを機に「産地」での出店を決断した。

開店前の準備を進める西健一さん=9月、焼津市西小川の「馳走 西健一」
開店前の準備を進める西健一さん=9月、焼津市西小川の「馳走 西健一」

 西さんは静岡市内の料理店でサスエ前田魚店(焼津市)から仕入れたカツオを食し、これまで経験したことがない食感や味に感激し「いつかこの食材を使って料理したい」と思った。2018年から広島市で営んでいたレストランで同魚店から鮮魚を仕入れていたが、「より鮮度の良い状態でお客さまに届けたい」と焼津市内での出店を決意。昨年末に広島市の店を閉じて、5月には住居を焼津市に移した。
 西さんの決意を応援しようと、移住や店舗の改修費用などについて、しずおか焼津信用金庫や焼津市などがサポートした。同信金の岩崎浩季理事は「焼津の魚を広くアピールする絶好機。人気シェフの出店は地方創生にもつながる」と期待する。
 西さんが新天地で挑戦する店舗は6月に住宅街の一角にオープンした。店名は「馳走 西健一」。「品質の良い料理を届けたい」という意向から席数は8席に絞った。営業初日から大盛況で、オープン3カ月を過ぎた現在、予約が数カ月待ちの状態となっている。
 メニューのほとんどは魚料理。サスエ前田魚店から仕入れた旬の魚を使っている。カウンターは来店客が目の前で西さんの調理の様子を楽しめるように段差を設けない作りにした。店舗と同魚店は目と鼻の先の距離に位置し、西さんは「良質な魚を世界で一番新鮮な状態で味わえる店」と胸を張る。

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