スズキ相良工場拡張 静岡県、牧之原市と3者協定締結 次世代技術開発を加速

 スズキは28日、次世代モビリティの研究開発機能強化を目指す相良工場(牧之原市)の拡張計画に関連し、西側隣接地の用地造成に関する基本協定を静岡県、同市の3者で結んだ。スズキは約140億円を投じて県が造成する工業用地約47ヘクタールを取得し、電気自動車(EV)や自動運転など次世代技術開発を加速する。鈴木俊宏社長は「大変革期の中、CASEや脱炭素対応など、全方位で将来に向けた開発を進める」と強調した。

式に出席した(左から)杉本基久雄牧之原市長、鈴木俊宏スズキ社長、小野田裕之県企業局長=28日午前、牧之原市役所相良庁舎
式に出席した(左から)杉本基久雄牧之原市長、鈴木俊宏スズキ社長、小野田裕之県企業局長=28日午前、牧之原市役所相良庁舎

 相良工場はスイフトなど小型四輪車の生産だけでなく、四輪テストコースが配置され、本社とともに研究開発機能を担う。スズキによると、新たな取得予定地では、走行性能評価など次世代モビリティの試験設備などを整備する方針。本社および、主力市場のインドに設立したR&Dセンターとも連携を図る。
 企業と地元自治体の要請を受けたオーダーメード方式で県が造成を手がける。期間は10年程度とするが、設計や用地取得を踏まえて県は2024年度後半の工事着手を目指すとしている。スズキ側も並行して順次開発体制を整える。同社は同工場の拡張方針を19年に公表後、面積や約250億円としていた投資額などを見直した。鈴木社長は「必要な設備投資を順序立てて実施していく」と述べた。
 同市役所相良庁舎で開いた締結式で、地権者交渉などを行う牧之原市の杉本基久雄市長は、相良工場の立地を「多様な経済波及効果をもたらす。職住近接の環境も整えたい」と意欲を示し、県企業局の小野田裕之局長は「スズキは本県のものづくり産業をけん引する存在。協力して早期開発実現を目指す」と述べた。

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