⚽J3沼津、中学生に指導 地域部活動「受け皿」に 指導者バンク構想も

 教員の労働環境改善などを目的に6月、スポーツ庁が提言した運動部活動の地域移行。サッカーJ3アスルクラロ沼津(沼津市)は下部組織での強化育成とは別に、地域の埋もれた人材が中学生向けにサッカーなどのスポーツ指導を行う地域主体の運営を目指している。クラブを運営するアスルクラロスルガの山本浩義会長(61)は「地域としてスポーツ好きな子を育てたい」と語る。

子どもたちに指導する山本浩義会長(左から2人目)=11月上旬、沼津市の第三小
子どもたちに指導する山本浩義会長(左から2人目)=11月上旬、沼津市の第三小

 子どもの減少などから部活動の地域移行を見据え、山本会長が地域の指導者らと2020年から試行的に始めた。同市を南、北、東、中央のエリアに分けて活動。南エリアでは週に2回ほど、香貫地域を拠点に市南部などから中学生が集まる。運営は県東部を中心にスポーツ教室を行うアスルクラロスポーツクラブで、月謝も集める。地域リーグ時代のトップチーム指導歴もある山本会長が指導を担い、月に2度、独自のリーグ戦も開催。同エリアでは女子バレーボールも行う。
 11月上旬の夜、南エリアの沼津市立第三小で行われた練習では、体験参加の小学6年生を含む約15人が懸命にボールを追い、山本会長が守備の仕方を教えた。清水町立南中2年の中里頼さん(14)は同校サッカー部の練習後に参加。部員の減少から町内の清水中と合同で活動しているという。
 中里さんは「人数が多いので練習のレパートリーが多い。試合に近い練習ができる」と部活動との違いを話す。保護者の間では「広い地域の友達と会える機会」と歓迎の声が挙がる一方、「送迎は大変」などと課題も聞かれる。
 沼津市教委は来年度から市立中学校の平日の部活動を週3日、活動終了を午後5時までにする方針。来年度に部活動の地域移行を検討する協議会を立ち上げたい考えで、教育企画課の担当者は「取り組みは先行事例。連携できるところはしていきたい」と語る。
 山本会長は、エリアごとの一般社団法人化や文化分野の指導、指導者バンクづくりを構想する。「地域には多彩なスペシャリストがいる。総合型地域スポーツクラブとして今後を地域の人と考えたい」と話した。

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