明電舎、新型変電所ICT採用 人手不足対応、環境にも配慮

 明電舎沼津事業所(沼津市)は、大型工場や鉄道事業者向けの「特高(特別高圧)変電所」に情報通信技術(ICT)を取り入れ、停電を伴う大規模点検の期間をこれまでの「3年ごと」から、「6年ごと」に延ばせる変電設備の販売を始めた。環境配慮型の設備とシステムを合わせ、二酸化炭素(CO2)排出抑制や人手不足に対応する。

さびにくい無塗装の鋼板を使った「グリーン特高変電所」の設備=沼津市の明電舎沼津事業所
さびにくい無塗装の鋼板を使った「グリーン特高変電所」の設備=沼津市の明電舎沼津事業所

 同事業所で実際に使用する「グリーン特高変電所」内には、油やガスの数値メーターを撮影する人工知能(AI)カメラや、設備が劣化すると増える部分放電を検出するセンサーを設けた。検出したデータは保守点検員が手にするタブレット端末で共有され、点検作業も大幅に短縮された。設備も変圧器の絶縁油を従来の鉱物油から植物油由来としたほか、さびにくい鋼板を使用して無塗装でも長寿命化を可能にした。
 グリーン特高変電所の設備とシステムによる「スマート保安技術モデル」は、製品評価技術基盤機構(NITE)のカタログに掲載され、停電が必要な点検も「6年ごと」への延長が可能になった。鈴木岳夫執行役員営業統括本部長は「環境配慮や人手不足への対応は多くの企業から要請がある。設備更新の機会をマーケティングしていきたい」と販売に注力する考えを示した。
 (東部総局・尾藤旭)

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