駿河湾2030メートル 工夫重ね撮影 4Kで多様な生物観測 沼津高専の学生グループ

 駿河湾の深海観察に取り組む沼津高専(沼津市大岡)の学生による特別同好会「知財のTKY(寺子屋)」がこのほど、水深約2030メートル地点の4K映像撮影に成功した。2017年に水深200メートル地点を撮影以降、12回にわたり水深を深めつつ撮影を重ね、当初目標に到達。エビや魚類など、駿河湾の多様な生物を観測した。

2030メートル地点の映像撮影のため船に乗り込む学生=8月下旬、松崎町の伊豆松崎アリーナ
2030メートル地点の映像撮影のため船に乗り込む学生=8月下旬、松崎町の伊豆松崎アリーナ
駿河湾の深海2030メートル地点で撮影したエビ類
駿河湾の深海2030メートル地点で撮影したエビ類
2030メートル地点の映像撮影のため船に乗り込む学生=8月下旬、松崎町の伊豆松崎アリーナ
駿河湾の深海2030メートル地点で撮影したエビ類

 同会は船に乗る「調査班」と地上でデータを整理する「解析班」の11人で構成する。バッテリーや給電方法やメモリーを改善した4K撮影システムを開発し、2千メートルの水圧に耐えられるようライトのレンズ部構造を改良。伊豆松崎マリーナ(松崎町)の協力で8月下旬、4時間36分連続撮影を成功させた。
 2030メートル地点の映像では、前回調査した1750メートル地点の約1・5倍の量のエビ類や魚類を観測し、水深が深くなるほど多様な生物が存在していることが判明した。海底から55センチの層には急な流れが生じ、凹凸や大きな穴、人工物のようなタワー状の物体も確認した。
 調査班の渡辺竣さん(3年)は「深くなるほど少なくなるとされるマリンスノー(海雪)が多いのは、駿河湾の地形が関係しているのでは。次は採取に挑戦したい」と意気込む。同会顧問の大津孝佳教授は「市販のライトに工夫を加えて気軽に2千メートルの深海に到達できるのが彼らの強み。専門家や地元企業と連携し、撮影を続けて謎を明らかにしたい」と話した。

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