医工連携、嚥下チェア開発 ソフトプレン工業(浜松)発売  最適な姿勢リハビリにつなぐ

 発泡プラスチック加工のソフトプレン工業(前嶋宏明社長、浜松市西区)は、嚥下(えんげ)障害がある患者の最適な食事姿勢を見つける造影検査から移動、リハビリまで一貫対応できる「嚥下チェア」の発売を本格的に始めた。市リハビリテーション病院(同市中区)などとの医工連携で開発した。診断時のチェアの高さを調節する昇降機と専用車いすの合体と分離が可能な構造で、リハビリ時の姿勢の再現性を高め、患者と医療従事者の負担軽減を図る。

嚥下チェアの開発、改良を進める関係者=浜松市リハビリテーション病院
嚥下チェアの開発、改良を進める関係者=浜松市リハビリテーション病院
発売した嚥下チェア
発売した嚥下チェア
嚥下チェアの開発、改良を進める関係者=浜松市リハビリテーション病院
発売した嚥下チェア


 名称は「FISLAND FJ―1」。一人一人異なる飲み込みやすい角度などの姿勢を造影診断で確認した後、車いすをそのまま使うことでリハビリ移行を円滑にし、時間短縮や誤嚥リスク軽減につなげる。
 同病院の藤島一郎院長の医療現場のニーズを受け、浜松商工会議所の医工連携研究会が会員に呼びかけてプロジェクトを始動した。
 ソフトプレン工業をリーダーに、鉄工所やデザインが専門の大学教授らと2018年、本格的に開発に着手した。背や座面のウレタンフォーム活用、金属加工面などで参加企業のものづくりの技術を生かした。20年から同病院に導入し、活用しながら改良を重ねた。
 発売に合わせて11月上旬の日本リハビリテーション医学会秋季学術集会(岡山県)で医療関係者にお披露目した。今後、製品は嚥下リハビリに力を入れる病院や開業医に販促していく。
 ソフトプレン工業の取引先は家電や楽器、自動車など工業製品向けが大半だが、開発の中核を担った前嶋文明会長は「高齢化の進行を踏まえ、介護福祉分野にも積極的に挑戦したい」と話した。
 昇降機(高さ最大45センチ)と専用車いすの基本セットで税別140万円。

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