富士山噴出物、間近で観察 富士山世界遺産センター 火山学・防災エリア一新 被害予想マップ立体投影

 開館5周年に合わせて富士宮市の静岡県富士山世界遺産センターは23日、火山学・火山防災関連の展示エリア「受け継ぐ山」をリニューアルし、公開した。同エリアは過去の噴火などから富士山と人との未来を考える内容。新たに宝永噴火の噴出物を露出展示したほか、富士山周辺の赤色立体模型に改定版富士山ハザードマップを投影するプロジェクションマッピングを用意し、読み解き方を解説した。

リニューアルした展示エリアを紹介する小林教授(左)=富士宮市の県富士山世界遺産センター
リニューアルした展示エリアを紹介する小林教授(左)=富士宮市の県富士山世界遺産センター

 火口付近で見つかった噴出物は宝永噴火初期から末期までの時間経過や火口からの距離で分類し、種類や大きさが異なる様相を視覚的に紹介した。最末期に噴出した重さ約80キロのアーモンド形の火山弾(富士砂防事務所寄贈)などが目を引く。宝永噴火が生活圏に与えた影響については小山町のはぎ取り地層を新たに展示し、モニターで史実を解説した。
 プロジェクションマッピングは富士山の火口実績図や想定火口範囲のほか、溶岩流や火砕流の現象別にドリルマップやハザードマップなどを操作パネルで切り替えて立体模型に投影できる形にした。同エリア担当の小林淳教授(火山地質学)は「富士山の噴火には無数のシナリオがある。それを視覚的に分かりやすく伝えたい。地形でシミュレーションをイメージしてもらうことで適切な避難につながる」と語った。

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