業務デジタル化 既存ソフト駆使「見える化」で対話円滑 家具製造のFPKナカタケ(焼津)

 家具製造のFPKナカタケ(焼津市策牛、中根正雄社長)は1年前から、社内のデジタルトランスフォーメーション(DX)化に着手している。既存の企業向けソフトを駆使して、勤怠管理や業務進捗(しんちょく)状況の把握といった社内のあらゆる業務をデジタル化した。業務の効率化が図られると同時に、情報共有が進んで社員同士の対話が円滑化する効果を生み出し、社内風土に変化ももたらしている。

QRコードを読み込んで機械の稼働状況を把握するシステムを確認する社員=焼津市策牛のFPKナカタケ
QRコードを読み込んで機械の稼働状況を把握するシステムを確認する社員=焼津市策牛のFPKナカタケ

 同社がDX化に取り組み始めたのは昨年12月。グループ会社のナカタケテック(東京都)の顧文博取締役が中心となり社員から業務内容を聞き取り、主に米マイクロソフトの企業向けサービス「オフィス365」を使って紙に頼らないシステムを構築している。
 残業申請は専用用紙に書き込み、上長に提出するという従来スタイルを一新し、社員所有の端末から電子申請する形式に変えた。生産管理システムでは案件ごとに関与している社員、進行状況、チーム内でのやりとりなどをまとめた「カード」を作成し、進捗状況の見える化を図った。
 工場内にはタッチパネルのディスプレーをラインごとに設置。その場で出勤管理や不足した備品の発注ができる。QRコードを活用した機械の稼働管理システムも導入しようとしている。中根社長は「情報の見える化が進み、『言った言わない』の口論が減った」と効果を口にする。

 中小のDX化支援 ナカタケテック
 ナカタケテック(東京都)はDX化のコンサルティングに力を入れている。中小企業を中心にFPKナカタケでの導入事例を示しながら、プログラミングの専門知識がなくても使える「ノーコード・ローコード」方式でのシステム構築を推奨していく。
 主に顧文博取締役が対象企業から課題や改善点を聞き出し、解決するために最適な機能を持ったソフトやシステムを提案する。期間は1社あたり3カ月を想定している。
 中小企業はデジタル化を進めようにもノウハウや人材が壁となり、導入に踏み込みにくいのが現状。顧取締役は「既存のソフトを使えば、何とかできるという気付きを与えることができれば」と語る。

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