富士に花咲け ビール文化 専門店、中心市街地で醸造開始

 富士市のJR富士駅近くでクラフトビール専門店「BEER JAM(ビアジャム)」を営む大高敏明さん(45)は2月から、独自の醸造所「ROUGH&LAUGH(ラフアンドラフ)ブリューイング」を中心市街地の同市富士町で始める。市内2例目の醸造所で中心市街地では初の試み。静岡や沼津に地元の愛好家の心をつかみ、富士にビール文化を根付く青写真を描く。

搬入された醸造設備を確認する大高さん=富士市のラフアンドラフブリューイング
搬入された醸造設備を確認する大高さん=富士市のラフアンドラフブリューイング

 富士駅北口から約200メートルの好立地に構える同醸造所には、一度に400リットル製造できる設備を整えた。モルトのコクを感じられてアルコール度数が低いペールエールを基軸に据え、6種ほど醸造する。富士の特産キウイなど地元食材を用いる。2月下旬までには最初の1杯が出来上がる。
 富士市周辺で醸造が盛んなものの、市内で味わえる環境は限定的で市外に繰り出す愛好家は少なくない。醸造所地下にタップルーム「BEER STANDARD(ビアスタンダード)」を1月15日に開業し、自家醸造品と、和をテーマにおつまみを提供する。当面は沼津市の醸造設備を借りて作った独自レシピの製品を出す。県内外の銘柄を豊富にそろえるビアジャムは徒歩1分の距離で、大高さんは「飲み比べを楽しむ客が両店を行き交う流れを生み、まちに常に愛好家がいる空気感を作る」狙いだ。
 同駅周辺では、供用開始予定の再開発ビルを核とした再整備が2028年をめどに進む。「ハードの整備に頼りきりでは、元気を失った今の駅前は変わらない。店側が動き出すとき」と大高さん。缶ビールの製造・販売まで手を伸ばし、地元の新たな名物土産に進出も見据える。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞