鈴与社長 鈴木健一郎氏 環境配慮の清水港PR【難局に挑む 新年トップインタビュー⑤】

鈴木健一郎氏
鈴木健一郎氏

 -景気の先行きをどう見るか。
 「人流が新型コロナウイルス感染前に戻りつつあり、海外の旅行客も増えている。一方で物価高騰による消費意欲の減退や、国外の景気後退の可能性という不安要素もあるように思う。これらの要素をプラスマイナスしていくとどうなるか。基本的には半年ぐらいはプラス基調でいくのでは」
 -清水-甲府間の中部横断自動車道開通から1年以上が経過した。
 「順調に推移しているという認識だ。わが社は10年以上前から山梨や長野でマーケティングを行い準備してきた。予想していた顧客をしっかりと取り込めている。清水港を使ってもらえる余地はまだ多く、努力を着実に積み重ねる」
 -清水港の強みとは。
 「生産性の高さだろう。輸出入のためのトラックの待機時間は他の港に比べても短く、もともと清水港は生産性が高い港といえるが、さらにデータやAIを駆使して効率的に仕事を進めることにチャレンジしている。荷役機器の電動化をさらに進めていくことは一つのテーマだと考える。生産性を上げることは、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素(CO2)排出量の削減につながる。環境への負荷が少ないことが『港選び』の基準にされることは今はあまり進んでいないが、われわれが積極的に清水港の強みをアピールしていきたい」
 -事業にITをいかに生かすか。
 「単に保管とか運送だけではなく、データの力を使って顧客の課題は何なのか『見える化』する。デジタルソリューションを顧客に提供できる物流企業になりたい」
 -観光分野での清水港の将来像は。
 「ちょうどいま今年秋の開業を目指し、エスパルスドリームプラザ敷地内に新たに新館棟を建設中だ。日の出地区の石造り倉庫群の再開発も実現させたい。清水港を人でにぎわうような魅力的な空間にしていきたい」

 すずき・けんいちろう 日本郵船を経て2009年常勤取締役。15年11月から現職。静岡市出身。47歳。

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