金属3Dプリンター 静岡県技術の未来造形 県協議会設立 活用促進に力

 静岡県は、次世代自動車の部品試作などに利用できる「金属3Dプリンター」について、地域産業界での活用促進や技術の普及に力を入れる。県浜松工業技術支援センター(浜松市北区)に1月下旬に配置した金属3Dプリンターの供用開始とともに、利活用策の協議や情報交換を目的にした産学官の積層造形技術協議会を設立した。電気自動車(EV)シフト対応に動く県内企業の技術開発に役立てる。

浜松工業技術支援センターで供用開始した金属3Dプリンターと造形物を見学する協議会メンバー=浜松市北区
浜松工業技術支援センターで供用開始した金属3Dプリンターと造形物を見学する協議会メンバー=浜松市北区

 金属3Dプリンターは、3Dデータを基に金属粉末にレーザーを照射し、積層化して造形する。切削加工では難しい複雑な形状や、溶接工程がない一体形などの造形が可能になり、製品の高機能化を図れるのが特徴。欧州や中国など海外の航空宇宙分野や医療分野で活用が広がる一方、国内では一部での活用にとどまっている。
 積層造形技術協議会はスズキやヤマハ発動機、輸送機器部品製造企業のほか、大学、産業支援機関など15団体で構成する。設立総会に合わせて、協議会メンバーが金属3Dプリンター(ドイツ製)の稼働状況を見学した。協議会長に就いた望月達也静岡文化芸術大名誉教授(工学博士)は「金属3Dプリンターの活用で、設計の在り方をはじめ、今まで無かった発想でものづくりができる可能性がある」と強調した。
 年度内に県工業技術研究所のホームページ内に金属3Dプリンターの特集サイトを開設するほか、2月3日と3月14日に活用セミナーを開催する。2023年度は、共同研究や企業との試作造形製造などに取り組む。

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