最先端技術でワサビ栽培 AI活用 都内の農業ベンチャー、焼津に研究施設

 農業ベンチャーのNEXTAGE(ネクステージ)=東京都=はこのほど、焼津市の製造機械メーカー、イシダテックの本社敷地内に、デジタル技術を駆使したワサビ栽培の実現を探る研究施設「静岡R&Dセンター」を設置した。人工知能(AI)などを活用し、ワサビの成長を管理するシステムや最先端の衛生管理装置を導入し、実用化に向けてデータを収集する。

イシダテックが提供した空間殺菌装置
イシダテックが提供した空間殺菌装置
ワサビ栽培の研究施設内部=焼津市のイシダテック本社
ワサビ栽培の研究施設内部=焼津市のイシダテック本社
イシダテックが提供した空間殺菌装置
ワサビ栽培の研究施設内部=焼津市のイシダテック本社

 広さ25平方メートルのコンテナ内に、ワサビの栽培棚4台を設置した。棚は発光ダイオード(LED)照明や二酸化炭素(CO2)といった管理する指標や生育条件の異なる二つのグループに分かれ、さまざまな条件を置くことで、成長に影響を及ぼすかを見極めていく。
 成長管理システムは、AIが撮影した画像データから葉の密度、色、大きさといった情報を読み込み、成長度合いや剪定(せんてい)のタイミングを判定する。
 イシダテックは、国内での独占販売権を有する、米国製の空間殺菌装置「EMT」を提供した。ウイルスやバクテリア、カビ、化学物質のほぼ全てを分解することができるといい、石田尚社長は「自動化で課題だった衛生管理もクリアできる」と自負する。
 NEXTAGEの中村拓也代表は「テクノロジーを駆使すれば、専門的知識ゼロでも栽培が可能になる」と強調。栽培装置の最適化を図ったり、実用化を念頭に検証作業を進めたりして「新しい農業の発信基地にしていきたい」と語った。

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