アーティスト×静岡県東部企業が協働 新製品開発へ試作発表 長泉のまちづくり会社企画

 手がけるのは日の出企画(山田知弘代表)。本年度の「アーツカウンシルしずおか」が採択したモデル事業の一環。制作の幅を広げたいアーティストと、販路を新規開拓したいものづくり企業を、同社と三島信用金庫が引き合わせた。図面を描けるデザイナーを仲介役に入れながら、互いのアイデアと技術を組み合わせて新製品を生み出す仕組み作りを、120日間かけて試行した。

鮎壺の滝を題材に制作した溶岩のオブジェについて説明する滝戸さん(右)=長泉町の下土狩駅前コワーキングスペース
鮎壺の滝を題材に制作した溶岩のオブジェについて説明する滝戸さん(右)=長泉町の下土狩駅前コワーキングスペース

 同社が町の委託を受けて運営する下土狩駅前コワーキングスペースで3月上旬、試作品の発表展示会「日常+α」を開催した。真ちゅう製の脚と一枚板を組み合わせたテーブル、デザイン性の高いコーヒー焙煎(ばいせん)器具など、採算やロット数を度外視した試作品が並んだ。
 都内で活動するアーティスト滝戸ドリタさん(静岡市清水区出身)は、植物専門店や建築関係者らの協力を得て、コケを植え付けた溶岩のオブジェを制作。溶岩を惑星に見立て、近くに観測用のウェブカメラも設置した。「鮎壷の滝が題材。公共施設やホテルのロビーなどのインテリアに活用できないか探っている」と話した。
 山田代表によると、アーティストと地域産業が交わることで、大量生産品とオーダー品の中間にある新製品が生まれる可能性がある。今後は同信金や同社が販路や採算などを調整し、商品化を目指す。「アーティストの新たな仕事を作り、移住促進や企業の後継者探しにつなげたい」と語った。

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