芸術に触れる機会提供 美術館ない清水町の子に ワークショップで名画模写 29日まで展示

 美術館がない清水町の子どもたちに芸術に触れる機会を-。町は小学生が制作し、作品を展示するワークショップ(WS)を今月下旬、初めて開いた。個性あふれる33点が完成し、29日まで町地域交流センターで展示。企画した町社会教育課の渡部碧唯[あおい]さん(25)は「美術を通して他者や違いを受け入れる寛容さを育めたら」と話す。

展示を見つめる渡部さん=23日午後、清水町地域交流センター
展示を見つめる渡部さん=23日午後、清水町地域交流センター
作品を制作する子どもたち=23日午後、清水町地域交流センター
作品を制作する子どもたち=23日午後、清水町地域交流センター
展示を見つめる渡部さん=23日午後、清水町地域交流センター
作品を制作する子どもたち=23日午後、清水町地域交流センター

 テーマは「美術館がないのなら自分たちでつくればいいじゃない」。小学生9人が3日間、サポーターの中高生14人とともに制作した。県内で活躍する名画を模写するユニット「アーブル美術館」や県立美術館学芸課の職員を講師に迎え、1・5メートル超四方の段ボールを台紙に、パステルやフェルトペンなどで名画を模写するなどの制作をした。
 清水中2年の岡田結愛[ゆあ]さん(14)は粘着テープで、オランダの画家モンドリアンの作品を表現。「芸術は幅が広くて身近に感じた」と目を輝かせた。同美術館の所蔵品「考える人」にちなみ、それぞれが考えるポーズをして写真撮影したり、作品のレプリカと見比べたりもした。
 渡部さんは同町出身で、静岡文化芸術大時代に誰もが楽しめる美術館「ユニバーサルミュージアム」について研究した。芸術部に所属していた中学時代、「町内に美術館があればいいのに」と感じていたという。町には現在、地域交流センターの一角に、地元の歴史の展示があるのみ。渡部さんは思いを実現できたらと町役場に就職した。
 渡部さんは「美術はありのままを受け入れること。(ワークショップで)子どもたちの真剣な表情が見られてうれしい」と話し、「地域の人が過ごしやすい環境をつくっていきたい。そこにアートの考えを生かせたら」と語った。

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