#防災力を高めよう 備蓄収納、無理なくスッキリ ふじのくに防災士に聞く【NEXTラボ】
日頃から自宅の防災備蓄の重要性は理解しつつも、「収納場所がない」「うまく管理ができない」などの悩みを抱える人もいるのでは。整理収納の資格「ライフオーガナイザー1級」を持つ、ふじのくに防災士の高良綾乃さん(48)=三島市=に「自分に合った防災備蓄法」の見つけ方と実践例を教わった。
まずは片付け
「防災備蓄を始める際、まず備蓄品を買い集めに行ってしまう人も多いが、それはNG」と高良さんは指摘する。まずは自宅に何があり、備蓄品を納められる空間がどこにあるかなど、片付けをしながら、現状を把握する。「片付けは防災の最初の一歩。避難経路の確保にもつながる」
備蓄は「自分に合った方法でなければ、長く続かない」。自分に合った方法とは何か。「家族構成や生活動線、ライフスタイルに加え、自分の得意、不得意を踏まえて考えた方法」を指すという。
高良さんは自身を「ずぼらだけど、部屋や物が整っていないと落ち着かないタイプ。視覚からの情報収集と理解が得意」と分析。それを踏まえて「何が足りていて、何が足りないか、一目で分かる防災備蓄法」を試行錯誤しながら実践している。
「備蓄をする上で、どのような収納用品を選ぶかはとても大切」。高良さんは夫婦と小学生の長女、家族3人分の備蓄品がぴったりと収まる引き出しや容器をそろえた。例えば、食品を収納するのは主にプラスチック製の衣装ケース。「ケース内が埋まっていなければ、食品が足りていないと、一目で分かる」。ケースなど容器はほとんどが半透明。「何も見えないと分かりにくいが、透明だとごちゃごちゃした感じで落ち着かない」と、自分の感覚を大事にしている。各ケースには入れた物を示すラベルを貼って管理している。
必要な量 算出
備蓄品を買いそろえる前に、何がどれだけ要るか割り出す作業は必要。高良さんは食料品を「表」のように算出し、7日分を備えている。
住まいは一戸建て。1階リビング内にある広さ1.5畳ほどの納戸に主な備蓄品を納める。ただ、天井が低く、立って出し入れの作業ができないため、他の場所への移動も検討する。備蓄の見直しは、災害や防災関連の報道が多い3月と9月、年2回行う。「子どもはどんどん成長するため、備蓄の内容も、管理法もライフスタイルに合わせて変えていくことが必要」と強調する。
乾物
「防災備蓄には『缶』もいいが『乾』もおすすめ」。保存期間が長く、食物繊維や糖質、ミネラルなど栄養価が高い乾物も活用したい。ミックスナッツや大豆ミート、くるまふなどをキッチン棚に常備。常に未開封が一つある状態にしている。梅干しや塩こうじなどの発酵食品や漬物も「おなかの調子を崩しやすい災害時に活躍する」と備える。
日用品
マスクやウエットティッシュ、ごみ袋などの衛生用品の備蓄は普段は使用しないため、ふた付きのケースに収納。トイレ用凝固剤は、トイレの棚に備えている。
食料品
食料品は日常的に使いながら備蓄する「ローリングストック」が基本。ご飯やパスタにかけるソースは立てて収納。ブックスタンドで仕切り、前は子ども用、後ろは大人用としている。レトルトパックや缶詰の上部には賞味期限を書いている。「ケース内の空いているスペースには、補充が必要。直感的に、埋めなくてはと思える収納をしている」。水は2リットルと500ミリリットルのペットボトルを箱で購入し、備蓄。「500ミリリットルは普段使いがしやすく、災害時、人にあげるのにもちょうど良い」