沼津の有名店「スパゲティ 夢の中へ」20日閉店 営業38年 入居ビル老朽化、退去で決断

 沼津市のJR沼津駅南口で38年間、地元住民に親しまれた飲食店が20日の営業を最後に幕を下ろす。店主の人柄と旺盛なサービス精神が人気で、最近はテレビ番組で取り上げられて静岡県外からの常連も抱えるが、入居ビルの老朽化で退去するのを機に店を畳む決断をした。この連休中は無休で営業し、2週間後に迫った閉店まで最高のサービスで感謝の気持ちを示す。

開店当初の写真を見て懐かしむ福木さん(右)と昌子さん=沼津市大手町の「スパゲティ 夢の中へ」
開店当初の写真を見て懐かしむ福木さん(右)と昌子さん=沼津市大手町の「スパゲティ 夢の中へ」
客と会話を楽しむ福木清延さん(左)=沼津市大手町の「スパゲティ夢の中へ」
客と会話を楽しむ福木清延さん(左)=沼津市大手町の「スパゲティ夢の中へ」
開店当初の写真を見て懐かしむ福木さん(右)と昌子さん=沼津市大手町の「スパゲティ 夢の中へ」
客と会話を楽しむ福木清延さん(左)=沼津市大手町の「スパゲティ夢の中へ」

 店は「スパゲティ 夢の中へ」。駅の南口を出て、西へ徒歩数分のビル2階。店主福木清延さん(61)によると、移転再開は現時点で考えていない。「もったいないとは思うがやりきった」と晴れやかな表情だ。
 1985年、福木さんは脱サラして同店を構えた。妻昌子さん(61)と二人三脚で切り盛りし、客を喜ばせたいとメニューを生み出し続けて今は60品以上に。休日の楽しみにする地元の家族連れは多い。
 2021年「お客さんが笑ってくれるとうれしい」と注文の料理以外にデザートなどを振る舞う姿がテレビに取り上げられた。清延さんのユーモアあふれる言動もあいまって一躍名物店になり、休日を中心に行列ができるようになった。
 立ち退きを求められたのは昨年5月。清延さんは「(店を)つぶさないためどうすればいいかずっと考えてきた。テレビ放送も運なら閉店も運」と閉店を決断。今後は未定という。
 高校時代に来店した森真梨恵さん(35)=千葉県=と小松悠麗亜さん(35)=神奈川県=はこの連休で久しぶりに訪れた。「テレビの放送を見てまた来た。沼津から有名な店がなくなるのはさみしい」と惜しむ。清延さんを支えてきた昌子さんは「長い38年だった」と振り返り、清延さんは「(残りの営業に)準備万全で臨みたい」と話した。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞