息合わせ 大わらじ作り 御殿場、8月に祭り 高校生も体験、伝統に理解

 富士登山の最盛期に登山者の安全を祈願する8月の「御殿場わらじ祭り」に向け、祭り保存会のメンバーや市民有志がシンボルである大わらじの製作を御殿場市の東山コミュニティ共用施設で始めた。5月末まで土日に作業し、縦約3メートル、横約1・2メートルの1足を完成させる。14日は地元高校生が足にかける鼻緒作りを体験し、市の伝統行事に理解を深めた。

大わらじの鼻緒作りに汗を流す保存会メンバーや高校生=御殿場市の東山コミュニティ共用施設
大わらじの鼻緒作りに汗を流す保存会メンバーや高校生=御殿場市の東山コミュニティ共用施設


 御殿場高と御殿場西高の計8人が市の観光人材育成事業の講座として参加した。3分縄計24本をより合わせて1本の縄にする行程では、保存会のベテランによる「せーの、よいしょ」のかけ声で全員が息を合わせて作業を進めた。小山町に住む比嘉正貴さん(16)は「祭りを見たことがないが、作業を通じて地域で大切に継承されている行事なのだと実感した。ぜひ参加してみたい」と話した。
 同市ではかつて、長距離移動や登山に重宝されるわらじの生産が盛んだった。祭りでは、わらじを巧みに編むことができる女性が良縁に恵まれるとの言い伝えにちなんで、女性たちが大わらじを担いで市中心部を練り歩き、登山者の安全などを祈願する。
 1971年に始まったわらじ祭りは99年以降に一時中断されていたが、保存会が中心となって2012年に復活させた。発起人となった杉山和男さん(67)は「大わらじ作りを若い世代が体験することは重要。仲間と一緒に今後も伝統をつないでくれるリーダー的人材が育てば」と期待する。
 (御殿場支局・塩谷将広)

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