御殿場・印野小に環境大臣賞 半世紀にわたる学校独自の野鳥愛護活動、他者思いやる心育む

 環境省の2023年度野生生物保護功労者表彰がこのほど発表され、御殿場市の印野小が環境大臣賞を受賞した。半世紀にわたり学校として続けている独自の野鳥愛護活動が、子どもたちの生物や自然を守る心を育んでいるとして高い評価を受けた。

双眼鏡で野鳥を探す印野小の5年生ら=御殿場市の御胎内清宏園
双眼鏡で野鳥を探す印野小の5年生ら=御殿場市の御胎内清宏園

 同校は1969年8月、御胎内清宏園(同市印野)に設定された約11ヘクタールの「野鳥愛護林」で活動する野鳥愛護林校の指定を受けた。現在は5年生の総合的な学習の時間で野鳥をテーマに扱っている。学校や同園に巣箱やエサ台を設け、育てたヒマワリの種をあげたり野鳥観察の結果をまとめて発表したりするなどの愛鳥活動を推進。同校の原田利志美校長は「自然を大切にする心だけでなく、他者への思いやりの心も育つ」と話す。
 地域も学校の取り組みを支援する。日本野鳥の会東富士(勝又立雄代表)は年4回程度、5年生の野鳥観察調査を指導。24日にも活動を実施し、5年生13人にウグイスやキツツキ、イカルなど多彩な鳥の鳴き声や生態を教えた。児童は地元の印野郷土振興会から昨年寄贈された双眼鏡をのぞいてキジバトやシジュウカラを観察、野鳥の種類や自然環境に理解を深めた。
 同日には御殿場市役所に勝又正美市長も訪ね、受賞を報告した。5年生代表の勝間田計さん(10)、佐藤叶花さん(10)、岡根谷直人さん(10)の3人が、新型コロナウイルスや「ナラ枯れ」の影響で近年は観察活動ができなかったことを報告した。同園でもコナラを中心に約3千本が伐採されて環境が変化したが「確認できる鳥たちがどう変わったか、なぜ変わったのかを調べていきたい」と語った。勝又市長は「自然の中で体験し、発見して学習することはすばらしい。半世紀にわたる学校と地域の共同の大きな成果」とたたえた。

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