脱炭素、2024年問題対応 物流需要の開拓強化 JR貨物、西浜松駅など

 静岡県などを管轄するJR貨物東海支社は、加速する脱炭素推進の動きや「2024年問題」に伴うトラックのドライバー不足に対応した貨物鉄道輸送ニーズの取り込みを強化している。自動車部品関連の取り扱いが多い西浜松駅(浜松市中区)で今春、スズキが補修部品を運ぶ鉄道専用大型コンテナを導入して輸送の一部をトラックから置き換えた。同駅構内でトラックから鉄道コンテナへの荷を積み替える「上屋」施設のリニューアルも検討中で、物流結節点の機能を充実させる。

コンテナホームでの貨物列車の荷役作業=1日午後、浜松市中区のJR貨物西浜松駅
コンテナホームでの貨物列車の荷役作業=1日午後、浜松市中区のJR貨物西浜松駅

 JR浜松駅から南西へ約2・8キロ。貨物専用の西浜松駅の2022年度年間発送量は約15万6100トン。近年の物流量は減少傾向だが、コロナ禍からの製造業の回復が早く、落ち込みが目立った21年度(14万6800トン)を底に、回復傾向が見え始めたという。愛知県豊橋市の集荷拠点「豊橋オフレールステーション(ORS)」(22年度発送は5万1千トン)からトラックで移送した荷も担う。
 豊橋分を含めた西浜松駅からの発送は北海道や九州など長距離向けが5割を超える。地元のスズキは福岡貨物ターミナル駅まで週2回、31フィートの大型コンテナで補修部品などを輸送する。北海道など既存コンテナでの輸送を含めた22年度の発送実績(コンテナ個数)は19年度比で約3・5倍と利用を拡大している。
 JR貨物東海支社は大手に限らず、中小企業の人手不足が深刻化する状況を想定し、ニーズ発掘に向けて金融機関とも連携を図る。
 西浜松駅の上屋施設のリニューアルで、利便性を高めるほか、小ロットの荷同士を運ぶシェアリングを検討するなど顧客層の拡大に結びつける。同駅の輸送量は自動車生産の回復などで、現時点で23年度は5%程度増加すると見込む。花岡俊樹支社長は「輸送量だけでなく、付帯サービスなど質の充実を図りたい」と強調する。
 JR貨物東海支社は1日、西浜松駅構内を報道陣に公開した。

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