小型EV向けに汎用フレーム ユタカ技研開発 形状やサイズ自由に

 ユタカ技研はEV(電気自動車)など小型モビリティ向けの車体に使う汎用(はんよう)フレームを開発した。溶接をせずに鉄製の標準部品を連結するシンプルな構造。設計や組み立てに関わる時間やコストの大幅な削減につながる。第1弾として都内のスタートアップがEV充電設備を載せる台車部分への採用を決めた。ユタカ技研は「小型モビリティ用フレームのスタンダード」を見据え、2025年の本格的な市場投入を目指す。

構成部材のジョイント(左)とメインフレーム、結合用ピン
構成部材のジョイント(左)とメインフレーム、結合用ピン
汎用フレームを採用した「E3Mobility」社のEV再エネ充電システム試作機
汎用フレームを採用した「E3Mobility」社のEV再エネ充電システム試作機
構成部材のジョイント(左)とメインフレーム、結合用ピン
汎用フレームを採用した「E3Mobility」社のEV再エネ充電システム試作機


 EV化の加速で基幹の排気系部品製造の将来的な縮小が予想される中、「新価値商品」の位置づけで進める開発事業の一環。1~2人乗りを主軸に、カートのような4人乗りも含めた近距離で低速走行の小型モビリティ向けに開発した。
 全長2~5メートル程度を想定し、必要な長さや形状に調整可能なメインフレームと直線とT字のジョイントの鉄製部材と、結合用のピンを使う。ピンをフレームやジョイントに配置した穴に差し込んで、工具で90度回すだけで固定できる構造。
 都内のスタートアップ「E3Mobility(モビリティ)」は今回、「E3チャージャー」と呼ばれる100%再生エネルギーの電力でEVに充電するシステムの試作機で、太陽光パネルを積む台車部分に活用した。1・5メートルのメインフレーム6個をジョイントで結び、車輪を付加して移動もできる。強度を維持するための形状や寸法は、予測計算技術でシミュレーションを重ねて最適化した。
 小型モビリティは少量多品種のため、1台当たりの設計、製造コストが高くなりやすい。今回開発した汎用フレームは金型製作や設備などの初期投資が減らせるため、中小やスタートアップの参入促進を後押しできるという。
 ユタカ技研の開発担当者は「人が乗るモビリティに限らず多様なニーズを探索する。改良を重ねて市販化につなげる」としている。

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