AI活用“かむ年齢”測定 高齢者トレーニング支援 浜松の企業がアプリ開発

 ソフトウエア開発のモアソンジャパン(浜松市中区)は大学病院との共同研究で、高齢者の咀嚼(そしゃく)のトレーニングと機能を支援するスマートフォン向けアプリを開発した。動画解析の人工知能(AI)を活用し、かむ能力を評価する独自の指標〝かむ年齢〟として表す。社会の高齢化が進む中、かむ力が弱くなるオーラルフレイルの予防や機能改善を側面支援する。

アプリを起動して動画を撮影し、“かむ年齢”を割り出す=13日、浜松市中区
アプリを起動して動画を撮影し、“かむ年齢”を割り出す=13日、浜松市中区
アプリ画面の一部
アプリ画面の一部
アプリを起動して動画を撮影し、“かむ年齢”を割り出す=13日、浜松市中区
アプリ画面の一部

 サービス提供を始めたアプリ名は「おくちトレーナー」。食事の時の顔をアプリで動画撮影し、約千点の3次元点群で捉えた口角や唇の上下、頬の動きからかむ動作を推測する。かんだ回数、速度、時間、口に入れる物の大きさ、咀嚼率の5項目でスコア化し、各年代のデータの蓄積からAIで解析してかむ年齢を割り出す。
 動画は最短で30秒から測定できる。測定とは別に、舌と口のまわりの筋肉を鍛える「あいうべ体操」などのトレーニング機能も組み込んだ。
 スマートフォン(iPhone)で簡便に使えるように開発した。一般ユーザーからスタートしてデータを集め、かむ能力を数値化する精度をより高める。将来は医療機関のほか、介護やリハビリ施設向けに、データ管理システムと併せたサービス提供を見据える。アプリの監修に当たった鹿児島大病院小児歯科の佐藤秀夫講師と山本祐士助教は「アプリの普及を通じて、咀嚼の機能が健康指標として注目されるよう期待している」と述べた。
 モアソンジャパンは、楽器や輸送機器メーカーからの製品開発や工場システム用ソフトの受託開発が主軸。今回の咀嚼トレーニングアプリは、経営の新たな柱として強化する自社開発事業の一環。
 (浜松総局・山本雅子)

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