富山の展示SL大鉄へ 9月搬入、点検 運転に活用、技術伝承
富山県高岡市の公園に50年以上展示されていた蒸気機関車(SL)がこのほど、大井川鉄道(島田市)に譲渡されることが決まった。解体作業を経て9月中旬、静岡県内に搬入される予定で、大鉄はSLの運転に活用する方針。
SLは1941年製造の「C11形217号機」。旧国鉄時代に富山県内の路線などで活躍し、69年に地元の高岡古城公園に設置され市民に親しまれてきた。SL運行に力を入れる大鉄は老朽化が進む車両の維持に向け、2021年に同公園のSLを調査。保存状態が良好であることなどを確認した。現在の所有者であるJR西日本や高岡市と協議し、譲渡が決定した。
9月半ばにはSLのボイラー整備を担う「東海汽缶」(静岡市清水区)の蒸気機関車整備工場(島田市)に運び込まれる予定。半年から1年かけて点検整備し、車両の活用方法を正式に決定する。
同公園で今月10日に式典が開かれ、大鉄の鈴木肇社長や角田悠紀高岡市長らが出席した。鈴木社長は「蒸気機関車の歴史と技術を未来に残すため、大切に使いたい」と述べた。
(島田支局・寺田将人)