栄養価でパプリカ訴求 スマートアグリカルチャー磐田/久枝和昇社長 【キーパーソン・最前線】

 磐田市内に設けた約3ヘクタールの大型ハウスで、ICT(情報通信技術)を活用してパプリカを生産している。一大産地として、生産や販売の拡大を目指す。

久枝和昇社長
久枝和昇社長

 -生産するプリンセスパプリカの特徴は。
 「日光を効果的に活用するオランダ型のハウスに加え、ICTで温度や湿度、炭酸ガス濃度などを最適化することで安定した品質、収量を確保している。血圧を下げる効果があるGABAの機能性表示がパプリカでは全国で初めて認められた。売り上げは年々伸びていて、昨年度は約4億5千万円と過去最高になった」
 -今後の生産方針は。
 「磐田市は日照時間が長く、パプリカ生産に適している。温暖で暖房コストも抑えられる。市内の生産面積は提携農園も合わせると4ヘクタールで全国2位の規模。日本一の産地になれば商品のブランド力にもつながるため、市内で2ヘクタールの生産拡大を検討している。安定したおいしさを常に追求するため、今後も磐田に合った品種も探っていく」
 -販売戦略は。
 「プリンセスパプリカは県内など東海・関東圏のスーパーやデパートなどに出荷している。認知度は高まっているが、リピートして購入してもらえるようにしたい。国内で販売されるパプリカの8割は輸入だが、国産との価格の差は小さくなっていて、市場を開拓しやすい状況。GABAに加え、ビタミンCも豊富なことを前面に出し、4月から『栄養のおくりもの』というブランドで売り込んでいる。味だけではなく、高い栄養価を切り口に消費者に訴求したい」
 (磐田支局・八木敬介)

 ひさえだ・かずのり 農学博士。2018年に大和証券に入社し、大和フード&アグリ取締役に就任。21年10月から現職。広島県出身。48歳。

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