路線縮小、黒字化目指す コロナ禍でビジネス利用に変化 鈴木与平/フジドリームエアラインズ会長【聞きたい】

 新型コロナウイルス感染症拡大が影響するなどし、2019年3月期以降4年連続で最終赤字を記録したフジドリームエアラインズ(FDA、静岡市)が、路線見直しなどで経営立て直しを進めている。今月23日に就航14年の節目を迎えた同社は今後の航空需要を見極めながら、弾力的な路線運航を志向する。

鈴木与平氏
鈴木与平氏


 -航空需要の動向は。
 「羽田空港発着の便などでは乗客が戻ってきているようだが、地方路線の場合、本格復活にはまだ時間がかかる。特にビジネス利用客の戻りが鈍い。テレワークなどが根付いたこともあり、日本人の働き方が社会全体で変わっている。これに航空会社として対応していく必要がある」
 -相次いで路線の休止を決めた。
 「創業以来これまで上り調子で乗客を増やしてきた。コロナ禍はいったん立ち止まり、経営体制を顧みる機会となった。春先に社内で作った経営計画は引き続きの赤字計上を前提とした弱気含みのものだったため、自分なりに経営全体にレビュー(見直し)をかけてみた。その結果として乗客が多いところに経営資源を集中することにした。小型ジェット機の数も16機のままでよいのか検討する。フレキシブルさ(柔軟さ)に富んだ経営をしていく。職員を減らすことは考えておらず、黒字化することで社員のモチベーションをもう一度高めたい」
 -今後の新たなビジネス展開は。
 「一つ検討しているのは、ペット連れで客席に乗りたいという乗客にどのように対応できるのか研究を始めた。また、チャーター便ビジネスや、空いている荷室を有効利用して北海道から海産物などを空輸することも引き続き取り組んでいきたい」
 -休止した路線再開のめどは。
 「一部路線休止は既に関係する行政機関に伝えた。個人的には残念ではある。ただ、今後の航空需要の動向によっては復活はありうる。黒字化を急ぎ、一度経営体制をスリムにしたい。立て直しのため一度身を縮める。黒字化することでいろいろな手を打てるようになると考える」

 すずき・よへい 1967年鈴与入社、日本郵船に出向。2008年にFDAを設立し、社長などを歴任。23年6月に3年ぶりに会長職に復帰した。81歳。

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