環境と地域経済好循環へ先進的仕組み 「御殿場型モデル」で合意書 脱炭素の成果を利益化

 森林経営による温室効果ガス削減の環境的価値を具体的な利益に換算し、デジタル地域通貨の財源に活用する新たな仕組みづくりに御殿場市が乗り出した。環境と経済の両立にデジタル活用を絡めた「御殿場型モデル」と称する計画で、全国でも先進的な取り組みとなる。実現に向け31日、御殿場財産区(小野田良夫議長)、市森林組合(小林利治組合長)と合意書を締結した。

合意書を締結した(右から)小林利治組合長、勝又正美市長、小野田良夫議長=31日午前、御殿場市役所
合意書を締結した(右から)小林利治組合長、勝又正美市長、小野田良夫議長=31日午前、御殿場市役所
「御殿場型モデル」の流れ
「御殿場型モデル」の流れ
合意書を締結した(右から)小林利治組合長、勝又正美市長、小野田良夫議長=31日午前、御殿場市役所
「御殿場型モデル」の流れ

 国のJ-クレジット制度を活用する。同制度は温室効果ガスの排出削減量や吸収量を国独自のクレジットに変換し、認証する。クレジットは売却可能で、脱炭素社会への貢献や環境目標達成のために購入する企業などが増加傾向にある。合意書では同財産区が同市東田中地区に所有し、市森林組合が森林経営計画を策定し整備を担っている約15ヘクタールの森林について、クレジット創出と売却益分配、木材の積極的な利活用などを約束した。
 市によると、一般例として森林1ヘクタール当たり二酸化炭素吸収量は約5トン増え、生み出されたクレジットは5万円程度で取引されることが多い。同市は既に国のJ-クレジット事務局に登録を申請していて、2024年1月ごろ認定される見通し。23年度に同森林エリアで創出されたクレジットは24年度に販売し、富士山Gコインによる市民のエコ活動などに対するポイント付与の財源に充てるという。
 同市は市域の約56%を森林が占めている。今回の計画は、これらの豊かな自然を守り育て、デジタル技術の活用を通じて環境と経済活動の循環を図る「富士山東麓エコガーデンシティ地域循環共生圏」の最初の仕掛けとなる。市役所で31日に開かれた締結式で勝又正美市長は「ゼロカーボンシティを富士山の麓の御殿場市から世界に発信していきたい」と力を込めた。

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