スズキ 半導体対応力成果 売上高通期、初の5兆円へ 4~6月期伸長

 2024年3月期連結業績予想で4日、売上高を過去最高となる初の5兆円に上方修正したスズキ。同日発表の4~6月期連結決算は売上高が前年同期比13・7%増の1兆2088億円と第1四半期として過去最高となり、各利益も大幅に伸びた。海外の値上げ、利幅が大きいインドの新型SUV(スポーツ多目的車)の投入効果、減産影響緩和に伴う販売台数増などが押し上げた。欧米の景気減速への懸念といったリスクは依然残るが、長尾正彦専務役員は同日の電話記者会見で、半導体不足の影響に対する調達力や対応力の一層の推進と投資強化による競争力向上の姿勢を強調した。
 4~6月期の営業利益は33・9%増の998億200万円と過去2番目に高い水準だった。インドや欧州、日本での四輪の販売台数増や円安効果が加わり、賃上げを含む固定費の増加などを吸収した。経常利益は20・3%増の1079億9600万円、純利益は15・1%増の670億5800万円。
 国内と海外を合わせた四輪の世界生産はパキスタンの減産などが響き前年同期比1%減の75万台4千台となったが、世界販売はインド、欧州、日本での増加で3%増の73万2千台だった。
 長尾専務役員は、調達や設計など対応力を高めてきた半導体不足に関する今後の見通しについて、「(足元では残るが)夏以降は安定する。突発事項がない限り、だいぶめどがついた」と自信を見せた。
 24年3月期から、仕様やモデルの変更などに合わせ、装備充実分と原材料価格高騰を反映した価格改定を実施。販売への影響については「物価上昇への生活防衛意識がある中、車の販売にどれだけ影響が出るか、これからしっかり見極める」と述べた。
 (浜松総局・山本雅子)

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