収益見通し 経常益「想定通り」6割 コロナ5類後も慎重姿勢【景気ウオッチ’23夏 ~トップアンケートから㊤】

 静岡新聞社が静岡県内主要企業に実施した景況アンケート(回答90社)は、新型コロナウイルスの5類移行に伴う景気拡大に期待感がにじんだ。一方で世界経済の減速や長引く原材料・エネルギー高、人手不足のリスク要因は拭いきれず、景気動向を見極めながら慎重なかじ取りに徹するトップたちの姿勢が見て取れた。

今期の経常利益見通し(期初予想比)
今期の経常利益見通し(期初予想比)
2023年の設備投資計画(22年比)
2023年の設備投資計画(22年比)
上
今期の経常利益見通し(期初予想比)
2023年の設備投資計画(22年比)
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 今期の経常収益見通しについて「期初予想通り」とした企業は60%を占めた。「半導体不足の影響が落ち着いた」(自動車部品製造)「コロナ禍後、緩やかに好転した」(宿泊)と業況回復を実感する声があった半面、「市場の動きに左右される可能性がある」(金融)「不調な部門が足を引っ張る構造が変わらない」(レジャー)などの厳しい見方もあった。
 ほぼ全ての企業が、原材料とエネルギーの高騰が事業にマイナス影響を及ぼしていると答えた。価格転嫁や経費節減で対応するものの、特に内需型の収益を圧迫し続けている。事業環境がコロナ禍前の水準に戻るのはさらに1年以上要する-と長期戦を覚悟する回答も26・6%に上った。
 一方で、経常利益が期初予想に比べ「大幅な上振れ」「上振れ」と見通した企業は22・2%あった。「下振れ」「大幅な下振れ」の12・2%を10ポイント上回り、明るい展望を描く経営者が一定数いた。
 上振れを見通した企業は製造業の18%、非製造業の22%。製造業は自動車の生産回復を受けて業況に改善傾向がみられたほか、海外案件の増加や価格改定効果を挙げた。非製造業はインバウンド(訪日客)を含む個人消費の復調が今後も収益を支えるとみている。
 (経済部・河村英之)

 設備投資 成長見据え意欲旺盛
 主要企業の経営者は経営収益見通しに慎重だった一方、持続的成長を見据えた設備投資には前向きさが目立つ。2023年の設備投資計画を22年比で「大幅に増やす・増やした」「増やす・増やした」との回答は前年同期比12.5ポイント上昇の50%と半数を占めた。
 設備投資の主なテーマは「老朽設備の更新」38.9%が最多で、「国内拠点の新設・増強」20%、「生産能力拡大」12.2%、「デジタル化」10%と続いた。足元の事業環境を整えつつ、生産性向上や新商品開発に力を注ごうという思惑が浮かんだ。
 設備投資を「大幅に減らす・減らした」「減らす・減らした」は横ばいの13.3%だった。

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