静岡県外出身大学生の県内就職促進 産学官で就業体験授業 来春開始目指す

 静岡県は学生の県内就職促進に向け、大学1、2年生をターゲットにしたキャリア教育プログラムの構築を模索している。8月に産学官でつくる検討会議を立ち上げ、2024年春のプログラム実施に向けて話し合いを始めた。産業界で働き手の確保が急務となる中、県外出身の学生にも県内の企業に就職してもらえるよう、人材流出対策に知恵を絞る。

就業体験を含む大学のキャリア教育プログラムの検討を始めた会議=8月上旬、県庁
就業体験を含む大学のキャリア教育プログラムの検討を始めた会議=8月上旬、県庁
2022年3月県内大学卒業生の就職状況
2022年3月県内大学卒業生の就職状況
就業体験を含む大学のキャリア教育プログラムの検討を始めた会議=8月上旬、県庁
2022年3月県内大学卒業生の就職状況

 県大学課によると、22年3月の県内大学卒業の就職者のうち、そのまま県内で就職したのは58・7%。県内出身者に限ると約3200人、84・2%に上る一方、県外出身者でみると約2千人、8割が県外へ就職した。県外出身学生の県内就職率の低さは課題で、同課は「改善の余地がある」と指摘する。
 キャリア教育プログラムは企業での就業体験などを通じ、地元企業や産業に対するイメージを描いてもらい、県内への定着につなげる狙い。県は就職活動やインターンシップが本格化する前の大学1、2年を対象に、来年の春休み期間中の実施を目指している。
 8月上旬に県庁で行われた検討会議には県内の企業、大学、県担当課の職員が参加。複数の大学が連携するプログラムの構築に向け、産学官で情報共有を図った。就業体験を含む授業は県内企業への関心を高めるきっかけになるとみられ、大学の担当者からは「キャリア教育プログラムは合同企業説明会などよりも効果的。企業の魅力を言語化し、社内で共有することが重要ではないか」との意見が上がった。
 県は23年度、4日間にわたる企業見学やワークショップの受講で単位を取得できる大学1、2年向けの授業を設けた。企業ガイダンスやキャリア教育講座を実施する大学に対する助成も新たに始め、県内に就職する学生を増やす取り組みに力を入れている。
 大学課の担当者は「県外出身の学生にとっても、まだ知らない本県の産業や企業に触れられるプログラムにしたい」と話した。
 (政治部・大沼雄大)

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞