離島の車両電動化へ実証研究 ヤマハ発動機など、普及に向け課題分析

 ヤマハ発動機は29日、鹿児島県知名、和泊両町、名古屋大未来社会創造機構と連携し、両町がある沖永良部島を走る車両の電動化に向けた実証研究を始めたと発表した。期間は2025年3月まで。同社の電動スクーターを活用するなど、電動化への課題の分析や解決策の検討を進め、ガソリン代が高くなりがちで、公共交通が少ない離島で持続可能なモビリティー社会のモデル構築を目指す。

沖永良部島を走る車両の電動化に向けた実証研究に取り組む連携協定の締結式=29日、鹿児島県知名町
沖永良部島を走る車両の電動化に向けた実証研究に取り組む連携協定の締結式=29日、鹿児島県知名町

 両町は環境省の脱炭素選考地域に選ばれ、再生可能エネルギーや蓄電池を活用した自律分散型電源の確保などの取り組みを進めている。島内の通学・通勤に電動スクーターを使う実証実験も実施中で、ヤマハ発は市販モデルの「E-Vino(イーヴィーノ)」を貸し出した。
 実証研究では、町民の自家用車、観光客のレンタカー、物流車両など目的・車種別に交通実態を把握し、電動化の優先順位を明確化するなど、充電インフラや車両整備を含めた島内のモビリティーのあり方を検討する。ヤマハ発は原付2種クラスの実証実験用電動スクーター「E01(イーゼロワン)」3台を町職員に利用してもらうなどして、航続距離や充電時間、充電拠点の配置など電動車両の普及に向けた課題の把握や、二酸化炭素(CO2)の削減効果の測定を行う。
 4者は29日、実証研究のための連携協定の締結式を知名町で開いた。ヤマハ発の渡辺敬弘新事業推進部長は「電動モビリティーの新しい使い方の課題を明確にし、より多くの人に利用してもらえるようにしたい」と話した。
 (磐田支局・八木敬介)

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