交通誘導 AIで省人化 カメラが車検知、停止や進行指示 沼津の警備会社

 人手不足が深刻な警備業の現場で、静岡県内でもAI(人工知能)を使った交通誘導システム導入の動きが始まっている。県内初の導入を進める沼津市の警備会社トーセイコーポレーション(杉山喜乃社長)が28日、システムのデモ運用を行った。省人化を図り、人にしかできない現場に人員を振り分け、業務の効率化を目指す。

AIを用いた交通誘導システムのイメージ
AIを用いた交通誘導システムのイメージ
進行を表示するLED画面の上についたカメラが車の動きを検知し、AIで交通誘導するシステムのデモ運用=28日午前、沼津市寿町の東部自動車学校(写真の一部を加工しています)
進行を表示するLED画面の上についたカメラが車の動きを検知し、AIで交通誘導するシステムのデモ運用=28日午前、沼津市寿町の東部自動車学校(写真の一部を加工しています)
AIを用いた交通誘導システムのイメージ
進行を表示するLED画面の上についたカメラが車の動きを検知し、AIで交通誘導するシステムのデモ運用=28日午前、沼津市寿町の東部自動車学校(写真の一部を加工しています)

 同社が導入を進めるのは、カメラで車の動きを検知し、片側交互通行の交通誘導をするシステム。山梨県昭和町の企業「KB-eye(ケイビーアイ)」が2017年に開発し、22年から実用化した。
 システムはAIが車の動きを認識し、自動でLED式の画面に停止や進行の表示をする。通常3~4人必要な現場を1~2人に半減できる。配置する人間はオペレーター研修をし、緊急時に対応できるようにする。同社によると、時間ごとに交互に通行を止める無人の工事用信号に比べ、交通状況に応じた誘導ができる他、人の配置で事故防止も図れるという。
 28日に沼津市の東部自動車学校で行ったデモ運用には、警察や行政、工事関係者約180人が集まった。実際に車を走らせ、停止の表示を無視して進入した場合もAIが判断して対向車線を止められることや、緊急車両が来た場合にオペレーターが手動で停止表示にする対応を実演した。杉山社長は「AIの力を借りなければ現場をこなせない状況。システムは実績もあり、安心できると感じた」と期待する。
 警備業は人手不足が深刻な業種だ。静岡労働局によると、6月の警備・保安業の県内有効求人倍率は7・74倍と高止まりしている。同局の担当者は「警備業の中でも、屋外作業の交通誘導は特に求職者が少ない傾向がある」と分析する。
 今後の普及は、システムを使って省人化した場合、警察の道路使用許可が下りるかが鍵。既に山梨県や三重県などでは使用例があるという。ケイビーアイの秋山一弘共同最高経営責任者(CEO)は「安全性を地道にアピールしていきたい」と語る。
 (東部総局・尾藤旭)

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