スズキ インドにバイオガス工場 牛ふん活用、25年稼働 

 スズキは6日、主力市場インドのカーボンニュートラル(CN)実現に向けて、牛ふんを活用して自動車燃料向けのバイオガスを製造する四つの生産工場をインド西部グジャラート州に設置すると発表した。投資額は計約40億円(23億ルピー)。2025年から順次稼働し、荷室にタンクを積む構造がそのまま生かせるCNG(圧縮天然ガス)仕様車向けに供給販売を始める。

インドの全国酪農開発機構、バナス・デイリー社の関係者と契約締結式に臨んだ鈴木俊宏スズキ社長(左から4人目)=6日、東京都千代田区の駐日インド大使館
インドの全国酪農開発機構、バナス・デイリー社の関係者と契約締結式に臨んだ鈴木俊宏スズキ社長(左から4人目)=6日、東京都千代田区の駐日インド大使館


 同州バナスカンタ地域に設ける工場には、それぞれガス充塡(じゅうてん)スタンドを併設。ガス生産量は1日1工場当たり1・2トンで、CNG車(1キログラム当たり34キロ走るワゴンRタイプ)を約680台を走らせる燃料に相当するという。
 現地で乗用車トップシェアのスズキは地域の実情に沿ったCN対応を進めている。インドでは農村中心に広範に飼育される牛のふんを回収、発酵させて発生するバイオガスから自動車用燃料を精製し、メタンの大気中放出を抑制する。スズキ子会社マルチ・スズキのCNG車の現地シェアは7割以上で、展開する全21車種のうち17車種(8月11日時点)に設定されている。今後投入する電気自動車(EV)だけでなく、CNG、バイオガスなども脱炭素の手段の一つとして活用する。
 22年からバイオガス実証事業に関して準備を進めてきたインド政府関係機関の全国酪農開発機構、アジア最大規模の乳業メーカーのバナス・デイリー社と3者の関係者が同日、都内の駐日インド大使館に集い、用地取得やガス製造工場設置などに関して合意し契約を締結した。鈴木俊宏スズキ社長は「インドでは温室効果ガス削減効果の高いバイオガスに期待が寄せられている。生産事業に積極的に取り組んでいく」とコメントした。
 (浜松総局・山本雅子)

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