中継、フェリー輸送推進 鈴与(静岡市清水区)/松山典正取締役【キーパーソン】

 トラックドライバー不足が指摘される2024年問題に対応するため、中継輸送とフェリー輸送を推進し、法令を順守するコンプライアンス運行と二酸化炭素(CO2)排出量削減に取り組む。労働環境と待遇の改善を進め、魅力のある業界に変えていきたいとする。

松山典正氏
松山典正氏

 -最大の課題は。
 「社会全体での労働環境改善に向けた動きは歓迎すべきことだが、ドライバーの賃金低下につながることはあってはならない。コロナ禍で運送業界は、重要な社会インフラとして地域社会から認識してもらえたはずだ。荷主企業には待機・荷役時間の短縮、リードタイムの延長など運行の生産性向上に協力してもらいたい。燃料費高騰など物価上昇による適正運賃への理解を求めたい。改善が進まなければ、今後、いくらメーカーが良い商品を生産しても、客に届けることが難しくなってくる」
 
-フェリー輸送の利用にも力を入れている。
 「長距離輸送はフェリーを利用したモーダルシフトへの切り替えを積極的に推進している。輸送距離の大部分に船舶を使用するため、ドライバーの労働時間が短縮できる上、CO2排出量の削減にも貢献できる。関東・関西間などの中距離輸送については、車両の大型化による使用台数の削減と、静岡県を中心に展開する多数の中継拠点を利用した中継輸送に切り替え、ドライバーの拘束時間を削減しながらコンプライアンス運行を実現している」
 -他社との連携は。
 「われわれだけでは、輸送の効率化には限界がある。近年は同業他社との連携のみならず、荷主企業にも参加してもらい異業種企業の情報交換会を定期開催している。共同運行便の企画を行い、輸送の効率化とCO2排出量の削減を実現してきた。物流会社だけでは解決できないことを、さまざまな企業と協業し解決していく」
 (清水支局・坂本昌信)

 まつやま・のりまさ 1991年入社。運輸事業部長などを歴任し、2020年11月から現職。鈴与カーゴネット社長も兼務する。静岡市駿河区出身。54歳。

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