ヤマハ発動機、米国に医療・健康事業の新会社 「抗体プロファイリング」事業展開

 ヤマハ発動機は27日、医療・健康事業の新会社「チューニングフォーク・バイオ」を米国に設立したと発表した。福島県立医大医療―産業トランスレーショナルリサーチ(TR)センターと連携し、血液中の抗体を分析して健康状態を可視化する「抗体プロファイリング事業」を手がける。研究開発拠点として日本法人も都内に置いた。国内外の医療機関が行う健康診断や個人に合わせた薬の選択、製薬会社の創薬研究などへの活用を図る。
 TRセンターは、各種疾患の抗原となるタンパク質など2万種類以上をスライドガラス上に転写できるマイクロアレイを開発。マイクロアレイ上の抗原と血液中に含まれる抗体の結合状態を計測し、独自のデータ解析技術で健康状態や診断などの指標(バイオマーカー)として適した抗体を選び出すことができる。
 抗体の有無や量から発症前の「未病」状態も把握でき、疾患の未然予防や生活習慣の改善、個人の状況に合わせた医療につなげられるという。こうしたデータを集めることで、薬剤開発にも貢献していく。
 新会社は2024年に数億円の売り上げを見込む。個人向け健康診断への活用も視野に入れていて、新会社の最高経営責任者(CEO)に就任したヤマハ発技術・研究本部の引地裕一フェローは「5~10年後には10倍程度まで伸ばしたい」としている。
 ヤマハ発は22~24年の中期経営計画で医療・健康分野を戦略事業領域の一つに位置づけ、事業拡大を目指している。
 (磐田支局・八木敬介)

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