女子プロレスの力「地域を元気に」 神取忍さんら清水町で米作り

 人気女子プロレスラーとして一時代を築いた神取忍さん(59)が10年以上前から静岡県内の地域活性化に尽力している。農業や障害者支援を柱に「地域が元気になれば。地域を発信して知ってもらいたい」。いちずな思いが住民の間に浸透し、活動は広がりを見せている。

水路の清掃作業に参加し、町民らと交流を深める神取さん(右)=清水町
水路の清掃作業に参加し、町民らと交流を深める神取さん(右)=清水町
清掃活動に取り組む井上さん=同町
清掃活動に取り組む井上さん=同町
水路の清掃作業に参加し、町民らと交流を深める神取さん(右)=清水町
清掃活動に取り組む井上さん=同町


貢献活動続ける「いずれは子ども食堂に」  清水町では、8月上旬、町民らが年3回行っている用水路の清掃活動に参加した。「米作りについては練習生」と神取さん。「将来は自分の田んぼを清水町に持ち、出来上がった米を子ども食堂に寄贈したい」と意気込む。女子プロレスラーの井上貴子さん(53)と、住民と交流しながら汗を流した。
 水路の清掃作業に参加した神取さんと井上さんは、町民の手ほどきで草刈り機を使い、丁寧に水路際の雑草を刈った。作業時に身につけたオーバーオールは、同町の「山本被服」から贈られた。今後、同町の古沢慶太さん(49)の田んぼで稲刈りなども体験し、農作業のいろはを学ぶ。
 神取さんは一般社団法人「清水町ゆうすい未来機構」の紹介で柿田川公園を訪れた際、水の迫力や美しさに圧倒されて、清水町での米作りを決めたという。「町の人々は優しく、環境もいい。全てそろった場所」と魅力を語る。
 元々、神取さんが地方創生や地域貢献に興味を持っていたことが、取り組みのきっかけ。浜松市の認定NPO法人「魅惑的倶楽部」では、2012年から理事を務めている。はたちの集いへの参加が難しい障害者の門出を祝うために同NPOが毎年開く「魅惑的生人四季」では実行委員長を務め、会場を訪れて若者や保護者に激励を送る。
 古沢さんは取り組みについて「町の米に注目が集まり、地域の活性化につながれば」と期待を寄せる。初めて対面した時、米作りの作業内容を細かく質問した神取さんに対し、「プロレスラーの印象が強かったが、しっかりやってくれると感じた」と話した。
 町には目立った特産品などがなく、PRを課題としている。神取さんの米を新たな商品として発信することで、全国的な認知度の向上を狙う。
 農作業は異分野への挑戦となる。神取さんは「自分で農業ができるようになれば地域のために提供するとともに、町を世の中に広めたい」と夢を語った。
 (東部総局・日比野都麦)
 

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