厚いウレタン 高精度裁断 富士ゴム産業が新技術 業績好調 販路も拡大

 ウレタン加工業の富士ゴム産業(静岡市清水区)は、一定よりも厚く、硬いウレタン梱包(こんぽう)材であっても高精度に裁断できる技術を開発し、業績を伸ばしている。製品の短納期化とコスト削減を可能にし、グループ2社を含めた年間売上高は導入前(2017年)の約7億円から約10億円へと増加。販路も従来の医療、スポーツなどに加え、福祉、農業などへと広げている。

厚いウレタン素材の裁断を可能にし、業績が好調な富士ゴム産業=静岡市清水区
厚いウレタン素材の裁断を可能にし、業績が好調な富士ゴム産業=静岡市清水区

 ウレタン梱包材をプレス機で裁断する際、厚さや硬さが増すほどゆがみが生じやすく、形が崩れたり、反りが起きたりしていた。そこで素材全体を治具で固定する技術の確立を進め、厚さで従来比約2倍の最大10センチ、幅と長さでそれぞれ従来比30%拡大の130センチまで高精度な加工を実現可能にした。
 これまでは厚い梱包材を求められた場合、薄手の素材を2、3枚貼り合わせて加工した製品を供給していた。ただ高い気温や輸送の仕方で貼り合わせ部分が剝がれる恐れがあり、医療機器やテレビカメラなど精密機材を扱う取引先から不安視する声が上がっていた。
 新技術でコストを2~3割削減したほか、納期も1週間縮んだため、全国から引き合いが増えたという。好調な受注に対し、最新型の加工機2台を導入して対応している。宇佐美裕之社長(51)は「競争力が身に付き、手応えを感じている。今後も社訓の『スポンジで世界を楽しく』を追求していきたい」と話した。
 (経済部・河村英之)

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