静岡の山あい 梅ケ島にサウナ施設開業 若い力で“熱く”移住促進

 観光客減や人口減少という地域課題を抱える山あいの静岡市葵区梅ケ島に約40年ぶりの民間投資となる新施設が誕生し、地域活性化への期待が高まっている。良質な温泉に着目した民間のサウナ付きのドライブイン施設で、移住促進に向けた情報提供も行う。地元関係者も「若い世代による地域活性化の起爆剤になる」と熱い視線を送る。

梅ケ島温泉の魅力を語る「ととのえ親方」こと松尾大さん(左から2人目)=10月28日、静岡市葵区梅ケ島
梅ケ島温泉の魅力を語る「ととのえ親方」こと松尾大さん(左から2人目)=10月28日、静岡市葵区梅ケ島
併設カフェ店内に掲示されるオクシズの不動産情報
併設カフェ店内に掲示されるオクシズの不動産情報
2つの水風呂が楽しめる「和のサウナ」=静岡市葵区の「梅ケ島ドライブイン&サウナヴィラ」 画像情報
2つの水風呂が楽しめる「和のサウナ」=静岡市葵区の「梅ケ島ドライブイン&サウナヴィラ」 画像情報
フィンランド製薪(まき)ストーブが備えられた「洋のサウナ」=静岡市葵区の「梅ケ島ドライブイン&サウナヴィラ」
フィンランド製薪(まき)ストーブが備えられた「洋のサウナ」=静岡市葵区の「梅ケ島ドライブイン&サウナヴィラ」
梅ケ島温泉の魅力を語る「ととのえ親方」こと松尾大さん(左から2人目)=10月28日、静岡市葵区梅ケ島
併設カフェ店内に掲示されるオクシズの不動産情報
2つの水風呂が楽しめる「和のサウナ」=静岡市葵区の「梅ケ島ドライブイン&サウナヴィラ」 画像情報
フィンランド製薪(まき)ストーブが備えられた「洋のサウナ」=静岡市葵区の「梅ケ島ドライブイン&サウナヴィラ」

 11月から営業を開始したのは、サウナ付きの貸し切り宿泊棟にカフェを併設した「梅ケ島ドライブイン&サウナヴィラ」。同区の総合建設業アースシフトが建設した。
 オープン前のレセプションには難波喬司市長も駆けつけ、「これを契機にさらなる民間投資を呼び込みたい」と梅ケ島の活性化に積極姿勢をみせた。梅ケ島旅館組合(同区)の志村浩二組合長(56)は「約30年で人口がほぼ半減した梅ケ島に華やかな施設ができ、地域で次代を作るムードが生まれている」と歓迎。同組合加盟施設で市の補助金を使って設備などを改装する動きが出ていることも挙げた上で、今後の交流人口の増大を見据え「ハードだけではなく、接客する人も変わらなければ」と来客満足度を上げるスタッフ教育の重要性も指摘した。
 サウナで利用する梅ケ島コンヤ温泉は強アルカリ単純硫黄泉。pH(水素イオン濃度)値の10・3は、戦国時代に武士が傷を癒やした逸話が残るほど全国屈指の泉質。化粧水に使えるほどなめらかで保湿性が高く美肌効果が期待できるという。目玉施設のサウナはサウナファンから「ととのえ親方」として知られる松尾大さん(札幌市在住)が手がけた。良質な温泉水を、「サウナー」が重要視する水風呂に活用する。「和のサウナ」は同温泉の冷泉と安倍川の天然水を使った2種類の水風呂を交互に体感でき、「洋のサウナ」は二つの水を混ぜて楽しめる。
 10月に先行オープンした併設カフェ店内では、梅ケ島や井川などの空き家や別荘の物件情報を発信している。アースシフトの近藤大智専務(37)は「梅ケ島に魅力を感じた観光客が移住を検討するきっかけになれば」と狙いを説明する。
 同地区は温泉や景観に恵まれる一方で滞留性に乏しいという課題もある。レセプションで近藤専務は「来訪者が遊べるコンテンツは必要」とし、ツリークライミングやスラックラインなど同社が橋梁(きょうりょう)工事で培った技術をレジャーに転用する構想を披露した。難波市長も同地区の市営施設「黄金の湯」との連携を示唆するなど、地区全体を面でブランディングする重要性を強調した。
 (社会部・薬袋貴信)

 

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