スズキ3年連続増収増益 9月中間 収益拡大 努力奏功

 スズキが7日発表した9月中間連結決算は、8月以降の半導体不足緩和による販売回復や円安の追い風を受け、売上高と営業、経常の各利益が最高となるなど3年連続の増収増益だった。オンライン決算会見で鈴木俊宏社長は部品調達改善や主力市場インドでの新型車投入、適正な販売価格設定といった努力を挙げ、「営業、生産、調達、品質などの取り組みをマネジメントし、成長投資を加速する中で、収益を拡大できた」と強調。2年連続の最高益を見通す通期に向けては、電動化など成長投資の継続に意欲を示す一方、緊迫する国際情勢や景気減速感に懸念も表した。

オンライン決算会見で、9月中間連結決算の内容などを説明する鈴木俊宏社長(スズキ提供)
オンライン決算会見で、9月中間連結決算の内容などを説明する鈴木俊宏社長(スズキ提供)


 中間期で過去最高の2294億6100万円を計上した営業利益の増減要因は、為替恩恵281億円に加え、インドや日本での販売台数増や価格改定、原価低減などが押し上げた。インドではスポーツ用多目的車(SUV)の積極投入、日本では「スペーシア」「ハスラー」といった高価格帯モデルの販売などが寄与した。鈴木社長は国内の原材料高騰分を踏まえた値上げについて「適正な利益」確保の方針を維持するとした。
 一方、下期への懸念材料も残る。ウクライナやパレスチナ情勢、世界的な景気減速をリスクに挙げた鈴木社長は「グローバルに多かれ少なかれ影響は出る」と見通した上で足元のインドでの小型車停滞の状況を含め、「在庫状況や商品の動きなどをしっかり注視する」と述べた。半導体不足についても「まだ不安要素はある。最新の汎用(はんよう)の半導体を使うなど、定期的に設計変更して対応する」とした。
 国際的に競争が加速するEVなどの電動化対応に向け、2300億円を積んだ研究開発費の計画実行は「停滞ややり直しもあると思うが、成長戦略の中で将来の種まきはきっちりやっていかなくてはならない」と力を込めた。
 (浜松総局・山本雅子)

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