通期上方修正13社 輸送用機械中心 増産、為替効果 静岡県内上場企業32社

 静岡県内上場企業32社(金融機関、国際会計基準採用企業を除く)が14日までに公表した2024年3月期通期業績予想は、増産や為替効果で好調な輸送用機械を中心に13社が純損益を上方修正した。新型コロナウイルス禍を経て回復基調にある業績の持続的な伸長を目指す。一方で小売りや物流業など7社は下方修正を余儀なくされた。

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 通期予想の純損益を上方修正したのは、製造業が村上開明堂、日本プラスト、共和レザー、ASTIなど12社。国内完成車メーカー7社が24年3月期の過去最高の売上高を見込む中、取引先の部品メーカーも通期予想の引き上げで続いた格好。輸送用機械以外では、はごろもフーズが価格転嫁の浸透効果が期初予想を上回る見通しとなった。
 対ドルの通期想定為替レートを修正する動きも相次ぎ、スズキは1ドル=134円から141円に、村上開明堂は133円から141円に見直した。外国為替市場の円相場は期初の1ドル=130円台前半の水準から、9月末には150円近くまで円安が進んだ。
 国内の自動車関連各社はEV(電気自動車)分野で出遅れが指摘され、同分野で先行し世界市場で攻勢を強める中国メーカーとの競合の行方が見通しにくい。中東情勢や行き過ぎた円安も企業経営のリスク要因と見る向きが強く、対応力の強化が不可欠。海外経済の減速懸念も増している。
 通期予想の純損益を下方修正したのはエンシュウ、河合楽器製作所、遠州トラック、エンチョーなど。中国経済の回復遅れや主力製品の販売不調などを要因に挙げた。
 (経済部・河村英之)

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