好循環へ投資呼び込む 静岡県産業成長戦略骨子案 人材確保や新興企業支援

 静岡県は16日、県産業成長戦略会議を県庁で開き、2024年度産業成長戦略の骨子案を公表した。「危機対応から成長への好循環」を基本方針に、産業人材の確保・育成とスタートアップ(新興企業)支援を打ち出した。産業構造の転換も不可欠とし、大胆な企業誘致の推進を掲げた。

産業成長戦略の方向性を示した会議=16日午前、県庁
産業成長戦略の方向性を示した会議=16日午前、県庁

 医療や光技術、海洋資源、植物由来の新素材(CNF)などで本県が取り組む先端プロジェクトと国内外のスタートアップを結びつけ、投資を呼び込みながら各産業の拡大を図る。県のイノベーション拠点「SHIP」が企業間の橋渡しや情報発信を担う。
 多様な人材の確保を課題とし、保護者へのアプローチ強化や人材マッチングの実施で若者と海外高度人材を取り込むとした。
 地域経済の持続的成長には中小企業の競争力強化も欠かせないため、経営革新や円滑な事業承継を支援する。企業誘致はインセンティブを高めつつ働きかける。観光面は訪日客対応として宿泊施設や飲食店へのキャッシュレス導入支援を検討する。
 協議では人手不足対策もスタートアップの集積も、本県の魅力を高めてこそという意見が相次いだ。岸田裕之県商工会議所連合会長(静岡ガス社長)は首都圏に出た学生のUターン率が低い現状を挙げ、「首都圏との競争の一つは賃金だと思っている」と指摘。福島豊県銀行協会長代理(静岡銀行専務)は「スタートアップが地方に拠点を移すにはかなりのメリットがないと難しく、いかに提供できるかだ」と強調した。
 (経済部・河村英之)

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞