浜松いわた信金 事業承継ファンド設立 企業価値高め 橋渡し

 浜松いわた信用金庫(浜松市中区)は16日、中小企業の事業承継支援に特化した総額10億円の投資ファンドを設立した。後継者がいないなど事業承継に課題を抱える取引先の株を取得し、経営改善で企業価値を高めた上で、新たな後継者へ橋渡しする。

調印式に臨んだ三輪久夫専務理事(左)と神先孝裕代表取締役CEO=16日午前、浜松市中区の浜松いわた信用金庫
調印式に臨んだ三輪久夫専務理事(左)と神先孝裕代表取締役CEO=16日午前、浜松市中区の浜松いわた信用金庫

 名称は「浜松いわた事業承継1号ファンド」。事業承継が主目的のファンドは県内信金で初めてという。
 1社当たりの投資規模は1億~2億円を想定する。原則全株式取得を目指す。投資業務や関連支援に豊富な実績を持つケップルキャピタル(東京、神先孝裕代表取締役CEO)が運営管理する。
 財務改善や営業管理、人材育成といった多角的な支援で経営力を高め、出口としては10年後までに、M&A(企業の合併・買収)や、経営陣による自社買収(MBO)など多様な承継の選択肢を用意する。
 同信金は2005年、専門のM&Aチームを設置して、事業承継支援を強化してきた。一方、コロナ禍を経た経営環境の変化で事業承継ニーズが高まる中、企業価値に見合った最適なタイミングで後継先に承継するのが課題だった。
 同信金本部で行った提携の調印式で、三輪久夫専務理事は「従来の支援の枠を超えた解決策を提供する必要性を感じた。数社規模から始め、成功体験を重ねながら次につなげたい」と述べた。神先代表取締役CEOは「地域企業に近く価値を把握できる金融機関が自ら事業承継の担い手となるファンドは現状を変える意義ある取り組み」とした。
 (浜松総局・山本雅子)

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