地上業務 合理化に課題 スカイマークの筆頭株主に 鈴木与平・鈴与グループ代表【聞きたい】

 2015年に経営破綻し、経営再建中の中堅航空会社スカイマークの株式を投資会社から11月に電撃的に取得し、約13%を握る筆頭株主に躍り出た。新型コロナウイルス禍からの国内旅行の回復が追い風となり、スカイマークの業績は足元で好調な中、純粋な投資目的の意味合いと、傘下の航空関連子会社との協業を志向する意図がある。

鈴木与平 鈴与グループ代表
鈴木与平 鈴与グループ代表


 -株式取得の経緯は。
 「株式取得についてメディアからの反響が大きく正直驚いている。昔から(スカイマーク株を買い受けた投資会社の)インテグラルの経営陣とは個人的な付き合いもあり、一緒に食事もする仲。ファンドとしてはどこかで手じまいする必要が当然ある。3カ月ほど前に株式売却の打診があった。明確な戦略があったわけではないが、受けることにした」
 ―スカイマークの強みは。
 「やはり羽田空港に拠点を持っているということ。日本航空(JAL)や全日空(ANA)といった大手以外の航空会社では、羽田空港におけるシェアは最も大きい。スカイマークは大手以外の航空会社設立の最初の『走り』のような存在であり、そのために羽田の権利を持っていることは強い。現在の執行部が抱えている課題については協力して解決していきたいと思っている」
 ―鈴与グループとのシナジー(相乗効果)は。
 「(中長期保有が前提のため)株価上昇にはあまり関心はないが、配当についてはしっかりお願いしたい。純粋な投資目的だけではなく、(航空機の誘導や貨物の積み込み作業など空港地上業務を担う)グランドハンドリング(グラハン)の拡大については、検討していきたい。今は人手不足でもあり、スカイマークとしても集約や合理化が図られる部分もあるのではないか。それが一番の具体的な課題になるだろう」
 ―スカイマークは他の大手と異なる「第三極」を掲げる。
 「スカイマークの事業コンセプトは、JALやANAと格安航空会社(LCC)の中間を狙っていて、ユニークなビジネスモデルづくりをしている。独立心も旺盛だ。今のところ(さらなる株式取得は検討しておらず)『この辺で』と思っている。スカイマークにどう関与するかはこれからの課題。グラハンの拡大と、(鈴与グループ傘下の)フジドリームエアラインズ(FDA)との神戸空港における連携は、両社にメリットがあれば研究する余地がある」
 (聞き手=清水支局・坂本昌信)

 すずき・よへい 1967年鈴与入社、日本郵船に出向。77年に鈴与社長、2015年に同社会長に就任。82歳。

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