旧幼稚園舎に笑顔戻る 塾、不登校の子支援、生涯学習の場… 御殿場

 2020年3月に閉園した御殿場市神山の神山幼稚園の跡地に、活気が戻ってきた。同年5月に旧園舎を生かして整備された神山地区生涯学習センター「くすのき」では、学習塾や不登校支援などの事業が展開され、子どもの声が響くようになった。生涯学習の場としても積極活用され、地域の活力が集まっている。

小中学生たちに人気の「やる気アップ塾」。教室に子どもたちの声が響く=御殿場市の神山地区生涯学習センター「くすのき」
小中学生たちに人気の「やる気アップ塾」。教室に子どもたちの声が響く=御殿場市の神山地区生涯学習センター「くすのき」


 「他の習い事と金銭、時間面で両立でき、人間関係に悩む子も前向きに通える温かい空間をつくりたかった」。特別支援学校常勤講師などの経歴を持つ大沢美紀さん(42)の「やる気アップ塾」は人気の企画。1コマ50分を500円で受講でき、周辺市町の小中学生を中心に約40人の子どもたちが和やかに勉強に励む。
 同所は1874年に「審問舎」と呼ばれる教育施設が設置されて以降、地域教育の中心地となってきた。現在は神山5区の区長らでつくる運営委員会が旧園舎と土地を市から借りて管理している。細谷良則センター長(79)らの「思い出の園舎をみんなが使う形で残したい」との思いから使用料は割安。大沢さんのワンコイン塾をはじめ、母親と子どもを対象とした学びの場やマルシェの開催など、住民らがアイデアを形にする格好の場になっている。
 伝統芸能やヨガなど15教室が活動し、幅広い年齢層の交流も生まれている。近年は地元楽団「マウントフジ交響楽団」の練習拠点にもなり、8月に同所で開かれた演奏会には130人以上の住民が詰めかけた。
 今後、高齢者のための事業展開なども予定されているという。細谷センター長は「多くの人に利用してもらいながら、世代間交流の輪をさらに広げていくことができれば」と話す。
 (御殿場支局・塩谷将広)

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