地域主体バスを実証運行へ 静岡・長田地区 24年4月から

 静岡市地域公共交通会議は22日、同市駿河区長田地区のコミュニティバス実証運行と、しずてつジャストライン丸子小坂線の廃止をそれぞれ承認した。地域主体で運行するコミュニティバスが丸子小坂線の機能を継承した上で、よりきめ細かなルートを設定し、高齢者を中心とした地域住民の利便性を確保する。

コミュニティバスの実証運行を承認した会議=22日午前、静岡市内
コミュニティバスの実証運行を承認した会議=22日午前、静岡市内

 長田地区の自治会や企業・団体などで構成するコミュニティバス運営準備会が同社と1年以上にわたって協議を重ねてきた。
 コミュニティバスはJR安倍川駅と用宗駅をそれぞれ発着点とする2ルートを設け、スーパーや医療機関を回りながら地域を循環する。住宅地に停留所を設置して高齢者が利用しやすくし、しずてつジャストラインの既存路線と接続して通勤通学需要の取り込みも図る。
 ダイヤは午前7時から午後7時まで毎日計16本運行し、貸し切りバス事業者KMSバス(同区)が中型バス2台を稼働する。実証運行は来年4月から1年間。

 記者の目=人手不足への対応急務
 22日の静岡市地域公共交通会議では丸子小坂線以外にも複数路線が廃止を視野に協議された。いずれも公的補助の対象路線。バス運転手不足の深刻化が懸念される「2024年問題」が迫る中、もはや行政が赤字を穴埋めするだけでは事業継続が難しい現状を浮き彫りにした。対応は急務だ。
 長田地区でコミュニティバス構想が浮上したのは1年以上前。高齢者らの利便性向上を目的とし、24年問題対応とは異なる切り口だったが、今回の実証運行決定は結果的に事業者の人手不足対策の一助になった。同市内に限らず同じ事情を抱える地域は多い。行政、事業者、地域が役割をどうすみ分けて交通手段を確保していくかを考える点で参考事例となり得る。
 とはいえ、運営準備会の予算のみでやりくりする実証運行を軌道に乗せることは容易でない。会議で委員からも事業性を心配する声が上がった。地域や地元企業が盛り上げつつ、中長期的な行政支援の必要性も見極めていきたい。
 (経済部・河村英之)

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