富士山望む茶畑、担い手不足深刻 静岡・日本平 「景観上重要」市が対策検討

 富士山や清水港など風光明媚(めいび)な景観で知られる静岡市清水区の日本平山頂付近で、景観の構成要素にもなっている茶畑の担い手不足が進んでいる。耕作放棄に近い状態になった茶畑もあり、市は外国人観光客も訪れる景観保全の観点から、就農希望者を探すなど将来的な対策の検討に乗り出した。

高齢化による担い手不足が課題となっている日本平山頂付近の茶畑=静岡市清水区
高齢化による担い手不足が課題となっている日本平山頂付近の茶畑=静岡市清水区


 関係者が特に気をもむのは日本平ホテル近くの日本平公園芝生広場に、道路を挟んで隣接する約80アールの茶畑。土地を所有する農家7軒は平均年齢が約75歳といい、市条例に基づく第1種風致地区内にありながら、耕作が事実上放棄され、茶の木の背丈が伸び放題になっている場所もある。
 日本平の茶畑から新芽が出る向こう側に富士山を望む景色は、静岡の典型的な春の風景の一つだ。このため、数々の絵画でも取り上げられてきた。ただ、農家グループの男性(72)=同区村松=によると、近年は清水の茶農家の経営は厳しく、まともに利益が出ないために後継者がいない農家が多い。「景観保持のためにも行政などが買い取ってくれないか」と提案する。
 市農業委員会事務局によると、農地法で、原則的に農地は農業者しか持てない。市農業政策課は2023年秋ごろから農家やJAしみずとも協議し、土地の借り手を探るなど景観維持と農家の負担感を減らす方策を探っているという。同課の担当者は「今後も土地所有者と議論を重ねながら、解決策を探っていきたい」などと話している。
 (清水支局・坂本昌信)

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞