スズキのインド新工場28年度稼働 6000億円投資 生産強化へ

 スズキは10日、主力市場インドの西部グジャラート州に同国5カ所目の四輪工場を新設し、2028年度の稼働を目指すと発表した。24年度から順次投入する電気自動車(EV)の増産を見据え、州内の既存工場内に四つ目の新生産ラインを整備することも公表した。一連の整備に総額約6600億円を投じる。

インドのモディ首相と会談するスズキの鈴木俊宏社長=9日、インド・グジャラート州
インドのモディ首相と会談するスズキの鈴木俊宏社長=9日、インド・グジャラート州
スズキの四輪生産拠点
スズキの四輪生産拠点
インドのモディ首相と会談するスズキの鈴木俊宏社長=9日、インド・グジャラート州
スズキの四輪生産拠点

 新工場は、土地取得費を除いて約6100億円を投じて整備し、スズキのインド子会社マルチ・スズキが運営する。将来は年間生産能力を100万台規模にする。建設地や生産車種などは決定次第公表する。
 同州の既存工場の新生産ラインは26年度に稼働予定とし、三つの生産ラインの年産計75万台態勢に25万台を追加する。560億円を投資する。
 スズキは世界一の人口を有するインドで乗用車シェアはトップの41・3%(22年度)。一連の投資は、市場の成長に伴う継続的な需要拡大を見込み、将来的なシェア50%以上の確保へ生産態勢強化を図るのが狙い。
 インドの現行年産能力は、ハリヤナ州のグルガオンとマネサール、グジャラート州の既存工場の3拠点で計225万台。ハリヤナ州カルコダでも25年の稼働を目指して新工場を整備している。30年度までに年産約400万台態勢を目指す予定で、今回の新工場整備の計画などでハード面の下地を整えた形。
 昨年は、スズキの完全子会社だったスズキ・モーター・グジャラート社を子会社マルチ・スズキの傘下に置き、現地の四輪生産態勢を再編した。生産機能集約で生産性向上を図り、他メーカーも熱視線を送るインド市場で競争力強化を図る。
 インドのモディ首相らが出席した同州の投資誘致イベント「バイブラント・グジャラート」で、鈴木俊宏社長が州政府と新工場建設で基本合意したことを表明した。鈴木社長は「成長を続けるインドで、お客さまの立場になって多様なモビリティの選択肢を提供する」と語った。
 (浜松総局・山本雅子)

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