ネイルチップで闘病中も前向きに 浜松のサロン、展示見本を再利用

 ネイルサロン運営のビューティースマイル(浜松市中央区)は9日、通常は廃棄する展示見本用のネイルチップ(付け爪)を再利用し、がん患者ら病気療養中や体が不自由な人に提供するEC(電子商取引)サービスを始める。コロナ禍の2020年に始めたがん患者らへの寄付の試みを発展させて事業化した。
サービス開始に向けて準備を進める高橋繁世代表(左)ら=1月下旬、浜松市中央区
 開設するスマートフォン向けサイト「ネイルドネーション」にAR(拡張現実)技術を活用した爪のサイズ計測機能を盛り込んだ。初回は無料(送料別)。高橋繁世代表(45)は「柔軟に取り外しできるネイルチップで、闘病中もおしゃれを楽しみ、前向きに過ごしてほしい」と話す。
 プロネイリストが季節や流行に沿って作るチップは、一点ものの多種多様なデザインがそろうが、古くなればその都度捨てていた。コロナ禍の休業期間を利用して活用アイデアを社内で募り、抗がん剤治療による爪の変色に悩む患者らに、県外団体を通じて寄付する取り組みを始めた。本年度約500人に到達した。
ARを活用した計測システム
 爪の大きさは千差万別のため、提供したチップを実際に身につけてもらうことができるかが課題だった。今回構築したシステムは、AR技術でスマートフォン上に浮き出るマークに合わせ、自分の親指などの爪のサイズをSMLで測る。チップは賛同する全国のネイルサロンから無償提供を受けてリメイク。顧客がデザインを選ぶと、画面に各サロンの紹介を掲載する。
 昨夏、浜松いわた信用金庫が実施した起業家支援の米シリコンバレー派遣事業で海外の投資家らにプレゼンしたところ、プラスチック削減を含めSDGs(持続可能な開発目標)推進に資する事業と評価を得たという。高橋代表は「まずは国内でサービスを広めたい。状況が落ち着いたら、能登半島地震の被災者の方にも目を向けてもらえたら」と話す。1セット10本。2回目以降は1800円(送料別)。
 (浜松総局・山本雅子)

 

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞